こんにちは。Horyです。
今回の記事では2物体の衝突について、衝突前と衝突後の運動量・エネルギーについて考えると共に、反発係数についても解説します。
本記事の内容は以下の記事の内容を理解していることが前提となる記事なので、記事をまだ読んでない人は読んでおいてください。
- 線積分と物体がされる仕事 原理と本質の理解
- 保存力と位置エネルギー 原理と本質の理解
- エネルギー保存則について 原理と本質の理解
- 力積と運動量について 原理と本質の理解
- 重心速度一定の法則 原理と本質の理解
今回も頑張りましょう。
2物体の衝突
一次元直線上で質量m[kg]の物体1と質量M[kg]の物体2が衝突することを考えます。
以下に示す図は物体が衝突直前・直後の状況を示しています。

運動量保存則が成立するので外部から力は働いていません。そのため、物体は加速しないので衝突直前・直後の速度は定数とします。
ここで、図に登場する文字の解説を行います。
- f(青色)・・・物体1が物体2に衝突時に及ぼす力
- f(緑色)・・・物体2が物体1に衝突時に及ぼす力
- ベクトルv1・・・衝突直前の物体1の速度
- ベクトルV1・・・衝突直前の物体2の速度
- ベクトルv2・・・衝突直後の物体1の速度
- ベクトルV2・・・衝突直後の物体2の速度
ここで、物体の衝突について考えなければならない点が2つあります。
- 衝突物体の抗力fの大きさはどのくらいか・・・
- 衝突物体が接触している時間はどのくらいか・・・
これら、2つは衝突する物体の素材や速度など様々な要因に左右されますが、抗力や接触時間によっては物体の変形や破壊が起きるためこれらを無視してはいけません。
このことを理解した上で2物体について運動量保存則とエネルギー保存則を考えてみます。
保存則について・・・
- Δx・・・衝突直前と直後における物体1の変位
- ΔX・・・衝突直前と直後における物体2の変位
- Δx≠ΔX
ここで、衝突直前を始点、衝突直後を終点としたときの運動量保存則、エネルギー保存則は以下のように描くことができます。
運動量保存則や力学的エネルギー保存則については力・速度・運動量の向きに気をつけてください。

- 赤い式・・・運動量保存則
- 青い式・・・エネルギー保存則
ここで、エネルギー保存則で厄介な項があります。

これは衝突によって失われるエネルギーであり、上のように書けます(何で上のように書けるかの証明は難しいのでやりません。ただ、比例定数をkとして本当にこのように書けます)
だから、運動量保存則とエネルギー保存則は以下のように書き直せます。

上の2式を解けば物体の衝突直後の速度が分かるわけですが、実に面倒くさいですね。見てるだけで計算ミスを起こしそうです。このまま解くのは得策ではありません。
ところで、以下の式が成立します。

- オレンジの部分・・・換算質量
- 紫の部分・・・重心の速度 (今回は外力が働いていないので一定)
- 緑の部分・・・相対運動と重心運動のエネルギー和
赤・青・緑の3式を用いれば衝突直後の速度を求めれます。
衝突と反発係数
先ほど証明した緑の式を用います。
速度を衝突前物体の速度・衝突直後の物体の速度にしても成立します。
ただ、重心の速度は常に一定(上の式の紫の部分)ということを思い出してください。

上の赤い字で書いた部分をeに置き換えてこれを反発係数と言います。
ところで、この反発係数が1のとき、つまり、「e=1」の時を(完全)弾性衝突といって、「k=0」となります。
式をみれば分かりますが、弾性衝突のとき、運動エネルギーは保存します(衝突により失われない)。
まとめ
以下に物体の衝突について簡単にまとめます。
- エネルギーが保存しない理由;衝突時の抗力により物体が変形する場合があるから
- (完全)弾性衝突;「e=1」⇔エネルギーは保存する
- 衝突時間が非常に短い⇔外力の力積を無視⇔運動量保存則は成立する
- 衝突前後の移動距離が非常に短い⇔外力(重力とか)による仕事を無視