重力の正体について 原理と本質の理解

力学

こんにちは。Horyです。

今回から力学で必ず使うことになる様々な力について解説していきます。

その第一歩としてこの記事では重力について解説します。

今回も頑張りましょう。

重力って何なんだ?

「重力とは何か?」と質問すると多くの人は「地球が物体を引っ張る力」とかって答えます。間違いではないですが、正確ではありません。

「重力は何か?」と質問についての正確な答えは「重力とは地球表面で働く万有引力である(重力は万有引力の一種だ)」これが正確な解答です。

現状の高校物理では、高校2年生の初めに力学で重力を説明しますが、このとき、万有引力については説明しません。万有引力に関して説明するのは高校3年生の初めです。

このような説明方法をするがために「重力と万有引力が全く異なった力だ」と勘違いする学生が出てしまうのです。

万有引力って何なんだ?

重力の正体は万有引力と言いましたが、万有引力とは何かを説明します。

まず、質量を持っている物体(惑星でも人間でも原子でも)は他の質量を持っている物体から力を受けます(引きつける力)2つの物体の距離がどれだけ離れていたとしても必ず力が働きます。

2つの物体の質量をM,m[kg]と考えて万有引力を図示してみます。

  • 緑の矢印・・・物体2が物体1を引く力
  • 青の矢印・・・物体1が物体2を引く力

上に示した2つの力には作用反作用の法則が成立しています。

この力の大きさは万有引力定数と呼ばれる定数をGとして以下のように表せます。

物体が地球表面にある場合、物体と地球の中心間距離は一定と見なせるので万有引力も一定とみなせます。物体が地球表面にいる場合に働く万有引力(地球が物体を引く力)を重力と言います。

地球の半径をR[m]、質量をM[kg]として、地球上にある物体をm[kg]とします。

図のような状態の時の万有引力(重力)は以下のように表します。

上の式に示すgが重力加速度と呼ばれているもので、地球表面では約9.8[m/s^2]を示します。本当にそうなっているか確かめてみましょう。

地球の半径と質量を以下に示し、これをgに代入してみます。

確かに、地球表面での重力加速度は9.8[m/s^2]で一定と見なすことができます。計算したらそうなります。

ここで、学んだ事のおさらいです。
重力は地球表面で物体に働く万有引力(地球が物体を引く力)であること、重力の正体が万有引力の一種であることを忘れないでください。また、重力と重力加速度は全く違うモノです。

  • 重力・・・地球表面で物体に働く万有引力(力の一種)・・・地球が物体を引く力
  • 重力加速度・・・地球表面での万有引力を運動方程式に当てはめた時の加速度

重力は物体の重心(対称性のある物体なら中心と言っても差し支えないか)を始点として、地球の中心に向かう力(ベクトル)です。

物体が地面に立っていられる理由

作用反作用の法則に関する記事で説明しましたが、おさらいです。

  • 重力・・・地球が物体を引く力(万有引力)
  • 反作用・・・物体が地球を引く力(万有引力)
  • 重力と物体が地球を引く力には作用反作用の法則が成立
  • 重力・・・地球が物体を引く力(万有引力)
  • 垂直抗力・・・接地面が物体に及ぼす力
  • 物体に働く重力と垂直抗力は力が釣り合っている(力の釣り合い)

ここで、私たちが地面に立っていられる理由は私たちに働く重力と垂直抗力が釣り合っているからです(釣り合っているから私たちは地面から浮き上がることもないし、沈み込むこともない)。

自由落下

重力に関する問題の基礎が自由落下です。

自由落下とは、物体を初速0[m/s]で高所から落とす時の物体の運動のことです。この運動は物体にかかる空気抵抗を無視すれば、等加速運動であると見なせます。

落としたときの位置を0[m]とし、下向きを正(鉛直下向きを正)とする運動方程式(成分_スカラー表示)を考えます。

以上により、空気抵抗が働かないと考えた自由落下における物体の速度と位置を表すことができました。基本的に等加速直線運動の応用と考えれば良いです。

鉛直振り下ろし

自由落下の応用の1つが鉛直振り下ろしです。

これは物体を初速v0[m/s]で落下させる運動です(まぁ、言葉を選ばずに言うと、物体を地面にたたきつける)。

落としたときの位置を0[m]とし、下向きを正(鉛直下向きを正)とする運動方程式(成分_スカラー表示)を考えます。

これも等加速直線運動の応用ですね。

鉛直投げ上げ

自由落下の応用の1つが鉛直振投げ上げです。

これは物体を初速v0[m/s]で投げ上げる運動です(まぁ、言葉を選ばずに言うと、物体を放り投げる)。

投げ上げる位置を0[m]とします。ここで、座標軸について上方向(鉛直上向き)を正ととしたときと下方向(鉛直下向き)を正としたときの2つの場合で運動方程式を立てて、速度、位置を導出します。

  • 鉛直上向きを正としたら・・・
  • 初速度のベクトルは正の方向
  • 重力加速度は負の方向
  • 鉛直下向きを正としたら・・・
  • 初速度のベクトルは負の方向
  • 重力加速度は正の方向

まぁ、座標軸の取り方は運動方程式の作り方の記事とかで詳しく説明しますが、この説明をするとなんで鉛直投げ上げだけ上向きを正にするの?」とかって聞かれます。

理由としてはそうした方が都合が良いからですが、念のため、下向きを正とした場合の運動方程式も作ってみました。

座標軸をどの方向に取っても力(ベクトル)の向きをよく考えれば、同じように運動を記述できます。

ただ、一次元直線上の運動では大抵は、座標軸をt=0[s]で物体が進む方向と同じ方向を正として設定します(鉛直投げ上げで最初、物体は鉛直上方向に進む)。理由としてはその方が都合が良いからです。

運動方程式を考えるときは座標軸で正の方向はどちらかを考えて、物体に働く力のベクトルを考えることが非常に大切です。

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