こんにちは。Horyです。
今回の記事では運動量保存則とエネルギー保存則について、射撃による銃弾の貫通をテーマにした問題に焦点を当てて解説しようと思います。
この記事は以下の記事を読んだことが前提となる記事なので、まだ読んでいない人は読んでおいてください。
- 線積分と物体がされる仕事 原理と本質の理解
- 保存力と位置エネルギー 原理と本質の理解
- エネルギー保存則について 原理と本質の理解
- 力積と運動量について 原理と本質の理解
- 重心速度一定の法則 原理と本質の理解
- 2物体の衝突 保存則と反発係数
今回も頑張りましょう。
射撃による銃弾の貫通 問題1
以下に示すのは射撃による銃弾の貫通に関する問題1です。

この問題を例に解説します。
木片が重くて動かないことに注意してください。状況を図に示します。

問題1 運動方程式で解答
まずは、問題の事前準備です。
木片が動かないので固定されていると考えて差し支えないです。
弾丸の運動方程式を考えます。ただし、弾丸が木片に接触した時刻をt=0[s]とします。
弾丸は木片から進行方向と逆向きの抗力を受けます。

ここで、弾丸が停止する時刻をt=t0と考えます。

問題1 保存則による解答
弾丸の進行方向を一次元直線座標における正の向きと考えます。
木片が弾丸に及ぼした力積Iは弾丸が木片に接触してから木片内で静止するまでの運動量変化に等しく、弾丸の進行方向と逆向きです。

抵抗力をFとすると、弾丸の運動エネルギーと弾丸が受ける仕事の関係が等しくなるので・・・

求める時間をt0と考えると、弾丸の運動量変化と力積の関係を利用して・・・

運動エネルギーと仕事の関係において、木片の長さを3l [m]にすればいいです。

射撃による銃弾の貫通 問題2
以下に示すのは射撃による銃弾の貫通に関する問題2です。

この問題を簡単に解説します。
問題2 運動方程式による解答
まずは、木片と弾丸についての運動方程式を記述します。
水平面に対する弾丸と木片の速度を以下のように記述します(静止した座標系から見た)。

弾丸が木片中で静止するということは、静止座標系から見て弾丸は木片と一体となって運動していると言い換えることができます。その時の時刻をt1と考えます。

木片の移動距離を考えると・・・

問題2 保存則による解答
保存則を用いて解答します。
運動量保存則を用いて弾丸が木片で静止した後の木片の速度を求めます。このとき、静止座標から見たら木片と弾丸は一体となって運動しているので・・・

入り込んだ深さをLとして、木片の移動距離をdとします。
運動エネルギーと力が物体に及ぼす仕事の関係を用います。
弾丸が移動する木片内を動いていることに気を付けてください。

(3)の解答・解説ですが、上の式の赤い部分で示した箇所がポイントです。
始点のエネルギーと終点のエネルギーが保存していないことが分かります。
衝突後のエネルギーから衝突前のエネルギーを引いた量がマイナスになっているということは、減少したエネルギーが弾丸や木片の内部エネルギーになったことを意味しています。