こんにちは。Horyです。
前回の記事では複素数平面における図形の初歩的な問題に取り組みました。
今回の記事では問題文に与えられた条件式から偏角(arg)と辺の比を求めることで図形の形状を求める問題に取り組みます。
今回も頑張りましょう。
問題1 条件式から図形の形状を求める
条件式から図形の形状を求める問題その1です。

この問題を例に解説します。
問題1 解答・解説
問題1の解答・解説です。このような問題はまず、どこか一つの偏角を求めることから始めるのが大切です。角度AOBの角度を求めるのが楽そうです。

上の式の赤い部分で辺の比(絶対値)と角度が分かります。

従ってこの三角形は頂角が120°で二辺の長さが1の二等辺三角形です。
問題2 複雑な条件式から図形の形状を求める
以下に示す問題は複雑な条件式から図形の形状を求める問題です。この問題はかなり詰まる人も多いので一見の価値ありです。

この問題を例に取り組みます。
変形をパッと思いつくのが非常に難しいので、変形を覚えてしまってもいいです。
問題2 解答・解説
問題2の解答・解説です。

- 上の赤文字で示した式変形は覚えてしまってもいいです。
- 上の青文字で表した式により辺の比と角度について以下のことが言えます。

以上からこの三角形は正三角形であることが分かります。
補充
以下は補充問題です。先ほど証明したことの逆が成立するかどうかを調べる問題です。

このことを証明します。重要なのは正三角形なので、ベクトルCAを±60°回転させるとベクトルCBになることを利用します。

これを展開すれば題意の式が出ます。
ちなみに、上の式で絶対値をつけてはだめなのか(共役な複素数を掛ける)?と思うかもしれませんがダメです。

上のように立式してはダメです。理由は求めたいのはベクトルです。絶対値はスカラーとなってそもそも量が違うので共役を取ってしまうと求めたい式を出すことはできません。
複素数平面であってもベクトルとスカラーの違いは必ず意識してください。
また、実数平面と複素数平面でのベクトルの違いは以下のことを意識してください。
- 座標平面では座標が位置ベクトル
- 複素数平面では複素数そのものがベクトル
- 実数平面・・・ベクトルの二乗はベクトルの長さ
- 複素数平面・・・ベクトルの二乗はベクトルの長さではなくベクトル
- 複素数平面でベクトルの長さの二乗は複素数とその共役な複素数との積
よく勘違いする人がいるので口酸っぱく言いますが、上の3点は絶対に意識してください。