こんにちは。horyです。
数学で直接的な証明ができないとき、間接的に証明する手法の一つとして「背理法」というやり方があります。
今回の記事では「背理法」を用いる問題の特徴や、「矛盾の導き方」を中心に記事をまとめました。
背理法
まず、背理法とは・・・
「~であることを証明せよ」という命題があり、直接的な証明が難しい時、「命題が成り立たない」と仮定することで矛盾が導かれることを示し、それによって元の命題が成り立つことを証明する方法です。
背理法を用いた証明問題として非常に有名なものが以下のような問題です。

上の問題は直接的に証明することが難しそうなので「有理数である」と仮定して矛盾を導くのが簡単そうです。
この問題を例に説明します。
(直接的に証明する方法もありますが、別の記事で説明します。)
問題を解く前のポイント
上の問題を解く前に抑えておかなくてはならないポイントを以下にまとめます。
有理数の表し方
有理数とは以下の形で表される数のことです。

上のことは意外と忘れている人が多いので定着させましょう。
互いに素
2つの数字の「公約数」が「1」のみのとき、「二数は互いに素である」といいます。
例えば、「4」と「9」は公約数が1のみなので「互いに素」です。
このことも今後使うことになるので頭に入れておいてください。
矛盾の導き方
矛盾の導き方は「2パターン」あります。
それぞれ個別に説明します。
前提条件との矛盾
「成り立たない」と仮定して議論を進めた結果、最初に立てた「前提条件」や問題文に書かれている「仮定」が成り立たなくなることで矛盾を導く方法です。
例えば・・・
- 互いに素と約束したのに互いに素でない
- 問題文の等式・不等式が成り立たない
などが考えられます。
等号関係に矛盾
「成り立たない」と仮定して議論を進めた結果、議論を進めた先で導出される「等式」が成立しなくなることで矛盾を導く方法です。
例えば・・・
- 有理数=無理数
- 右辺と左辺で素因数の数が違う (素因数の一意性)
などが考えられます。
問題を解く
上の問題を背理法を使って解いてみます。
二つの方法があるので個別に解説します。
前提条件との矛盾
以下は「背理法」で「前提条件」と矛盾する方法を用います。

教科書にも書いてある有名なやり方の一つです。
応用が利き、汎用性も高いので必ず理解したいです。
等号関係の矛盾
以下は「背理法」で「等号関係」の矛盾を用います。

練習問題
以下は練習問題です。手を動かして解いてみましょう。

(1) 解答・解説
前提条件に矛盾する方法を用います。

連続する2数が互いに素というのは憶えてもいいかもしれません。
(2) 解答・解説
等号関係に矛盾が生じる方法を用います。

「無理数=有理数」となる矛盾を利用しています。
まとめ
今回は数学の「背理法」について、「基本事項」と「矛盾の導き方」を中心に記事をまとめました。
今回のポイントは以下の通りです。
- 「~ということを証明せよ」で直接的な証明が難しいなら背理法
- 前提条件との矛盾を利用
- 等号関係の矛盾を利用
背理法を用いることの抵抗がなくなり、矛盾の導き方が分かったことで方針が立てやすくなったのではないでしょうか?
それでは、次回の記事でお会いしましょう。