こんにちは。Horyです。
今回の記事では物理では重要な数学の要素になる線積分について学ぶと共に物体がされる仕事について原理から解説します。
本記事の内容は物理法則の「エネルギー保存則」や「運動量保存則」に繋がる非常に重要な要素になってくるので必ず理解していただきたいです。
今回も頑張りましょう。
線積分について・・・
物体が以下の図に示すような経路Cを通って始点Aから始点Bに移動することを考えます。
力の方向は場所によって任意であるとして関数で表されるとします。

唐突ですが、上の図において、物体が経路Cに沿って始点Aから終点Bまで移動する際に物体がされる仕事は以下のように表せます。

上の式の意味は力ベクトルと微小変位ベクトルの内積を経路C(始点A→終点B)に沿って積分した量は物体がされる仕事という意味です。
要するに・・・各点における物体の「微小変位量」と「力の大きさの移動方向成分」の積(スカラー積=内積)を経路における始点から終点まで足し合わせたものが「物体が力によりされた仕事」というわけです。
鍵括弧内の表現がめちゃくちゃ大事です。
「物体がされた仕事」=「物体にかかる力がする仕事」です。
上の積分を線積分といいます。
余談ですが、線積分があるので面積分・体積分も当然あります。別の記事で解説しますが・・・
- 線積分と面積分の紐づけ・・・ストークスの定理
- 面積分と体積分の紐づけ・・・ガウスの定理
以上の二つの定理は電磁気学の記事で解説する予定です。覚えておいてもいいと思います。
物理における使いどころ
ところで、「物理において仕事を求めるときに線積分がどういう風に使えるのか?」という点です。
上の事項で紹介した経路が複雑で力の方向や大きさも一定でないような場合で始点から終点までに物体がされる仕事を求めるのは難しいです。
基本的に高校で出てくる線積分で仕事が求められる場合は3つあります。
- 物体が一次元直線運動をする (高校物理では一定の力)
- 経路について常に微小変位ベクトルと垂直な力
- 保存力 (次の記事で解説)
保存力については次の記事で解説するとして、この記事では「物体が一次元直線運動をする場合」と「経路について、常に微小変位ベクトルと垂直な力」の仕事を線積分で求めます。
一次元直線運動
以下に問題を示します。


図のような状況を考えます。力は一定で常に座標軸(経路)と平行なので、物体の微小変位ベクトルと力のなす角は常に0です。

次の場合も考えてみましょう。

ちょっと応用もやってみましょう。


微小変位ベクトルに平行な力はF(平行)=F cosθです。なので・・・

微小変位ベクトルと垂直な力
微小変位ベクトルと常に垂直な力がする仕事を求めます。
まぁ、もう察しがついていると思いますがやってみます。


したがって、経路について常に微小変位ベクトルと垂直な力が物体にする仕事はどんな場合であっても0です。