物理 位置・速度・加速度の関係 原理と本質の理解

力学

こんにちは。Horyです。

今回の記事では位置と速度、加速度にはどのような繋がりがあるかについて原理と本質から解説しようと思います。

事前にこちらの記事を読んでおくことをお勧めします。

今回も頑張りましょう。

微分について・・・

最初から物理ではなく数学的な内容ですが、微分についてです。

微分については数学の記事にも書いていますが、復習のためにもう一度簡単に説明します。

まず、微分とは本質的には二点間の傾きを求めることに他なりません。ただ、二点間の幅を極限まで狭くしたら傾きはどうなるかということを考えるのが微分です。

以下に図を示します。

二点間A,Bの傾きを求めます。AB間の幅を極限まで狭くしたときの傾きは以下のように立式できます。

上の式が微分の定義式で、グラフに当てはめるとy=f(x)の点Aでの接線の傾き(微分係数)を求めたと言い換えることができ、関数f(x)をxで微分したと言います。

微分の記号についてもおさらいします。

微分のおさらいについてはこれで終わりです。

位置→速度→加速度

位置・速度・加速度は全てベクトル量です。また・・・

  • 座標・・・ベクトル量
  • 座標成分・・・スカラー(単なる値)

一次元直線上を動く物体を考えます。位置・速度・加速度を以下のように定義します。

一次元なので成分は1つしかありません。括弧の中身はスカラーです。

物体の位置と時刻の関係は以下のように図で表します。

上の図のt[s]は時刻・x[m]は位置座標です。

ここで、物体の速度というのを以下のように定義します。

  • 物体の速度・・・単位時間当たりの物体の位置の変化量
  • 単位時間・・・Δt [s]
  • 位置の変化量・・・Δx=x(t+Δt)-x(t)

上のことを使うと点Aから点Bにおける物体の平均の速度v(ave)は以下の式のように定義できます。

一方で、Aでの瞬間の速度vAを求めたいのであれば、Aでの接線の傾きを求めれば良いので・・・

私たちが考えたいのは瞬間の速度です。上の式から、物体の位置座標を時刻で一回微分すれば速度が導出できます。

同様に加速度は点Aから点Bにおける単位時間当たりの物体の速度の変化量なので・・・

点Aでの平均の加速度a(ave)瞬間の加速度aAは以下のように定義できます。

私たちが考えたいのは瞬間の加速度です。上の式から、物体の位置座標を時刻で二回微分すれば加速度が導出できます。

上の例では一次元の場合を考えましたが、二次元や三次元の運動でも位置を微分すれば速度・加速度が出ます(成分ごとに出す)。

受験物理では加速度が一定(定数)の等加速直線運動(一次元)しか出ません(まれにそうじゃないものも出るが丁寧な誘導がつく)。

積分について・・・

積分についても数学の記事で説明していますが、復習も兼ねて解説します。

積分と微分は表裏一体です。

関数が囲む部分の領域の面積を求めること(積分)は(無限に)分けたモノを詰んで集めることで全体を捉える手法です。

赤い斜線部の面積がそれぞれの数式です。

区間「a≦x≦b」をn等分して分点をそれぞれ以下のように設定しました。

ここで、①、②、③の面積についてそれぞれ説明します。

  • ①;関数f(x)とx軸が囲む部分の面積
  • ②;幅がΔxの長方形n個の面積の和 (高さをk-1側に取る)
  • ③;幅がΔxの長方形n個の面積の和 (高さをk側に取る)

このことを表しています。

さて、上の図の②と③において、nを無限大にして幅を極限まで狭くした場合を考えてみてください。近似的に面積を求めることができますよね。これが区分求積法です。

上の式は図における①の赤い斜線分の面積を表しています。

加速度→速度→位置

先ほどと同様に一次元直線上を運動する物体を考えます。

縦軸に加速度aを取って横軸に時刻を取ります。物体の加速度が以下に示す図のように時間変化することを考えます。

速度を時刻で一回微分したモノが加速度です。

上に示す図のように幅Δtを無限に狭くした細長い長方形を無限に作って、これらの無限の長方形を足し合わせたものが速度になります(無限に分けたモノを詰んで集める=積分)。

これを式で表します。位置と速度の初期条件も定義します。

  • 青い部分・・・速度の初期条件
  • 赤い部分・・・グラフがt軸と囲む部分の面積

同様に物体の位置座標についても・・・

等加速直線運動

今までに説明したことをまとめると位置・速度・加速度には以下の図に示す関係があります。

ここで、一次元直線上を等加速直線運動する物体を考えてみましょう。

上のような条件を考えて物体の速度と位置座標を時間の関数で表してみます。

皆さんが力学をやり始めて必死になって覚える等加速度運動の3つの公式の内の2つを導出しました。

このように考えると・・・

  • 物体が運動する・・・物体の位置座標が時間的に変化する
  • 物体の運動を記述する・・・物体の位置座標を時間の関数で表す

と言い換えることができます。

変位と距離について・・・

変位と距離も物理では重要な要素です。

一次元直線上で点Aと点Bの座標をxAとxBと置きます。

特に変位に関しては何から何を引くのかを取り違える人が続出しています。赤く書いた言葉を覚えてください。

変位について、上の言葉を言い換えると、「Aを基準点(原点のように考える)と見たときに、Bの位置はどこか?」と言っているのと同じです。特に、Aを原点としたらBの位置は座標と等価になります。

相対速度について・・・

相対速度も重要な要素です。

変位と同様に何から何を引くのかを取り違えて勘違いする人が続出しています。

物体AとBの速度をvAとvBと考えます。

赤く書いた言葉を覚えてください。

相対速度について、上の言葉を言い換えると、「Aを速度の基準と見たときに、Bの速度はどのくらい?」と言っているのと同じです。特に、Aの速度を0[m/s]としたらBの速度は地面に静止した観測者が観測する速度と等価になります。

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