物理におけるベクトル量とスカラー量

物理数学

こんにちは。Horyです。

今回は物理におけるベクトル量とスカラー量の違いについて簡単に説明します。

物理ではベクトルとスカラーの違いが分からないと自分が何をやっているか分からなくなります。

なので、この記事の内容でベクトルとスカラーの違いを完全に理解すると共に、ベクトルの計算を自在にできるようになってほしいです。

ちなみに、数学でもベクトルとスカラーの違いやベクトルの計算についてはこちらの記事にも書かれていますのでよく読んでおいてください。

今回も頑張りましょう。

ベクトルとスカラーの違い

まずは、ベクトルとスカラーの違いです。

  • スカラー・・・大きさだけを持った量 (正の値も負の値も)
  • ベクトル・・・向きだけでなく大きさを持った量

ベクトルは向きだけでなく大きさを持った量です。

だから、基準点(原点)を設定した数直線や座標平面、座標空間上の任意の点も向きと大きさ(絶対値)を定義できるのでベクトルであると言えます。

つまり、数直線・座標平面・座標空間の座標そのものもベクトルと定義でき、これを私たちは位置ベクトルと呼んでいます。

  • 数直線・・・原点を通る直線 (正の方向と負の方向の2つが存在)
  • 座標平面・・・原点を通る互いに垂直な2直線を軸とした平面
  • 座標空間・・・原点を通る互いに垂直な3直線を軸とした空間

ベクトルの計算について・・・

ベクトルの計算についてです。

大前提ですが、物理量に関する式があるときに「右辺がベクトル量なら左辺もベクトル量」「右辺がスカラー量なら左辺もスカラー量」です。「一方がベクトル量で他方がスカラー量」になることはあり得ません。

また、座標自体はベクトルですが、座標成分(下に示すa1とかa2とか)はスカラーです。

以下は3次元空間上の任意の位置ベクトルをA(a1,a2,a3), B(b1,b2,b3)としたときのベクトルの計算についてデス。

ベクトルの内積が上のようになる理由は上に示したベクトルの計算方法の記事に書かれています。
(内積には必ず・(ドット)をつけること!)

また、高校範囲外になりますが、物理にはベクトルの外積という演算があります。これについては別の記事で解説しますが、ベクトルの外積はベクトルになることは覚えておいてください。

余談ですが、数直線上のベクトルの内積は定義できるの?という意見が出ますが、普通に定義できます。別に何ら難しくありません。以下に例を示します。

そもそも、内積の本来の定義は以下のようになります。2つのベクトルがなす角度をθとおいて・・・

つまり、内積は2つのベクトルの絶対値の積にcosθをかけたスカラー量です。

座標の成分同士を掛け合わせ足したものということが証明されます(証明は上に示したベクトルの計算記事にあります)。

一次元平面では、2つのベクトルが同符号であればなす角は0°2つのベクトルが異符号ならなす角は180°なので・・・

物理におけるベクトル量とスカラー量

物理におけるベクトル量とスカラー量を力学分野限定で少しまとめてみます。

  • 位置(座標)はベクトル(数直線でも座標平面でも座標空間でも)
  • 座標成分はスカラー・・・(x,y)のxとか・・・けっこう大事だよ
  • 距離はスカラー
  • 速度はベクトル
  • 速さはスカラー
  • 加速度はベクトル
  • 加速度の大きさはスカラー
  • 力はベクトル
  • 力の大きさはスカラー
  • 質量はスカラー
  • 仕事はスカラー
  • エネルギーはスカラー
  • 運動量はベクトル
  • 力積はベクトル

こんな所でしょうか・・・自分が扱っている物理量がベクトルかスカラーであるかは常に意識し、ベクトルを用いて計算するときは演算結果がベクトルかスカラーのどっちになるかを必ず意識してください。

くれぐれもベクトルとスカラーを混同することのないようお願いします。

また、一次元直線上のベクトルは成分が1つです。そのため、一次元の場合に限り、座標(ベクトル)そのものを成分(スカラー)であるかのように扱うことが可能です。今後、一次元平面上で運動方程式を書くときにベクトルの矢印を書いてないのはそのためです。

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