熱力学第一法則の理解と落とし穴 まとめ

熱力学

こんにちは。Horyです。

前回の記事では熱力学第零法則について解説しました。

第零法則は見落とす人がかなり多いと考えているのでよく理解しておいてください。

今回の記事では熱力学第一法則について解説します。これは高校物理の熱力学分野では最も大事な法則になります(第二・第三法則は大学内容)。

今回も頑張りましょう。

熱力学第一法則

熱力学第一法則とは、ズバリ「エネルギー保存則」です。

力学のエネルギー保存則を熱力学に置き換えたモノが熱力学第一法則です。

エネルギー保存則についてはこちらの記事でも解説しましたが・・・

  • 力学のエネルギー保存則
    • ①;終点での物体の力学的エネルギー
    • ②;始点での物体の力学的エネルギー
    • ②-①=非保存力にされた仕事
    • 保存力・・・重力/弾性力→保存力のした仕事・・・位置エネルギー
    • 非保存力・・・摩擦力とか

ちなみに、保存力や非保存力について解説すると・・・

  • 保存力・・・始点と終点が同じであれば経路によって仕事量に変化なし
  • 非保存力・・・始点と終点が同じでも経路が異なると仕事量が変化

仕事や保存力に関する記事はこちらです。

  • 熱力学のエネルギー保存則 (熱力学第一法則)
    • ①;終点での系の力学的エネルギー
    • ②;始点での系の力学的エネルギー
    • ②-①=非保存力にされた仕事

ここで、熱力学における非保存力にされた仕事とは何か?と言うことなのですが、、、主に2つに分かれます。

  • 熱力学における非保存力にされた仕事
    • 系に流入した熱・・・dQ ;ヒーターの構成原子の熱振動による仕事
    • 外力のした仕事・・・dW;ピストンとか壁を手で押す(押される)ときの仕事

これを式で表してみると・・・

上で表される式が熱力学第一法則という名のエネルギー保存則です。

言葉で説明すると、熱力学第一法則とは「系の内部エネルギーの変化は系に流入した熱量と外力が系にした仕事の和に等しい」ということを表す式です。

熱力学第一法則の落とし穴

熱力学第一法則で私が相談されたことは「式が2つあってどっちを覚えれば良いかよく分からない」という質問をされたことがあります。

「式を書いてみて」と言うと学生は以下の2つの式を書いてくれます。

「どっちが正しいか?」ということですが、結論から言うと「どちらの式も正しい」です。

こういう点からも公式の丸暗記をすることは非常に良くないです。

例えば、+dWを手がピストンで押される(系がピストンを押す)仕事で系が膨張すると仮定すると・・・

  • ①の「+dW」・・・「ピストンが押される仕事」=「系がピストンを押す仕事」=膨張
  • ②の「-dW」・・・「ピストンが押す仕事」=「系が押される仕事」=圧縮

外力による仕事の正負と主語をどのように定義して起きている現象を原理から考えれば良いだけです。

何度も言っていますが、式の因果関係を言葉で説明できるようになってください。

外力による仕事

外力による仕事dWを式で記載します。

ここでは、外力がされる仕事(ピストンが系に押される=系がピストンを押す)を正とします。

図のようにピストンを動かすことを仮定します。

図に示すように、膨張過程を示すとしたら「ピストンがされる仕事」になってマイナスが付属します。
(ピストンがする仕事はマイナスがつく⇔押されるから)

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