こんにちは。Horyです。
私たちは現在まで重力・張力・抗力について学んできました。
今回の記事では浮力について解説します。
今回も頑張りましょう。
浮力とは何か・・・
浮力とは流体力の一種です。
流体とは、私たちが普段目にする空気や水などが例としてあげられますが・・・
これらの物質は一定の形を持たず、力が加えられると形が変形します。このような物質を流体と呼びます。
流体力には大きく2つの力に大別されます。
- 気体による流体力
- 液体による流体力
面を水に沈める
流体力について、以下のように水槽に断面積がSの面を深さH[m]まで沈めた時に薄い面の下側にかかる力を考えます。

ここで、登場する文字について解説します。

ここで、水槽に沈めた面の下側については2つの力が働きます。
- ①;沈めた面を底面とした高さhの立体の液体が受ける重力と同じ大きさの上向きの力
- ②;沈めた面が大気(空気)から受ける力(大気圧を使って表せる)
上に説明したちからで①は液体からの流体力・②は気体からの流体力です。
下面が受ける流体力の総和をFとします。
①と②はどちらも上向きの力(下面が浮く方向の力)であり、以下のように表せます。

立体を水に沈める・・・浮力
以下の図に示すように立方体を水に沈めてみます。
水面から立方体の上面までの高さをH[m]として立方体の一辺の長さをd[m]とします。
立方体の上面(up)と下面(down)が流体から受ける力を求めています。


ここで、側面にかかる流体力はどうなるのかと思いますが、打ち消しあいます。だから、この物体が受ける流体力の合計Fは以下のように表せます。

上に書いた緑の部分で書いた式が物体の浮力です。
上の式から、物体に働く浮力とは「物体が押しのけた流体にかかる重力の大きさに等しい上向きの力(浮上する力)」と言うことができます。
浮力について、発見の経緯をもっと深く知りたい人はアルキメデスについて学ぶと良いと思います。浮力発見について結構面白い話がありますので・・・
浮力に関する問題
以下に示すのは浮力に関する練習問題です。

(1)~(4)に関しては前回の空気抵抗を受ける自由落下の応用問題です。
この問題で一番重要なのは実験3にある(5)と(6)です。
作用反作用の法則と力の釣り合いが理解できるかどうかの重要問題です(大学生や大人でも間違う人は間違います)。
実験1 解答・解説
物体の速度が0の時に液体中で物体が受ける力を書き込んでみます。

物体にかかる力は以下の2つです。
- 重力・・・地球が物体を引きつける力(下向き)
- 浮力・・・流体が物体を押す力(上向き・・・押しのけた流体の重力に等しい)
物体が沈むには重力が浮力よりも大きくないといけません。

以上が解答になります。
実験2 解答・解説
これは前回の記事の応用になります。物体にかかる力は以下の3つです。
- 重力・・・地球が物体を引きつける力(下向き)
- 浮力・・・流体が物体を押す力(上向き・・・押しのけた流体の重力に等しい)
- 抵抗力・・・流体が物体を押す速度に比例する力(上向き)

終端速度について考えます。上の赤い部分の式で「t⇒∞」にしたときの速度がどうなるかを考えれば良いです。

実験3 解答・解説
この問題で一番大事なのは実験3です。
まずは、水槽に何も入っていない状態ではかりにかかる力を図示してみましょう。

- Mg・・・地球が水の入った水槽に及ぼす力(下向き)
- N・・・はかり台の面が水槽に及ぼす力(上向き)
- 力は釣り合っている
- N・・・はかり台の面が水槽に及ぼす力(上向き)
- 反作用N・・・水の入った水槽がはかり台の面に及ぼす力(下向き)
- 作用反作用の法則が成立
はかりの指針は上に示した反作用の大きさをMと読み取っています。力の釣り合いからN=Mgです。
また、中学校の知識ですが、重さと重力の違いについて・・・
- 重さ・・・質量に重力加速度をかけた量=重力の大きさ・・・mg[N]
- 質量・・・物体そのものの量(どこでも不変)・・・m[kg]
(5)解答・解説
物体を糸で吊しているとき、物体を沈めた水槽が測り台の面に及ぼす力を考えます。以下に図を示します。

- 物体にかかる力
- 張力T・・・糸が物体を引く力(上向き)
- 浮力ρVg・・・流体が物体に与える力(上向き)
- 重力mg・・・地球が物体を引く力(下向き)
- 浮力ρVg・・・流体が物体に与える力(上向き)
- 反作用ρVg・・・物体が流体に与える力(下向き)
- 浮力の反作用ρVg・・・物体が流体に与える力(下向き)
- 重力Mg・・・地球が水の入った水槽に及ぼす力(下向き)
- N1・・・はかり台の面が物体の入った水槽に及ぼす力(上向き)
- 反作用・・・物体の入った水槽がはかり台の面に及ぼす力(下向き)
はかり台の面が物体の入った水槽に及ぼす力N1(上向き)は水の入った水槽の重力Mgと浮力の反作用ρVgと釣り合っています(力の釣り合い)。
はかりの指針はN1から質量を読み取ります。

以上からM+ρVがはかりの読み取る指針です。つまり、糸で吊されているときは、水の入った質量と物体が押しのけた水の質量の和をはかりは読み取ります。
(6)解答・解説
状況を以下に図示します。

- 物体にかかる力
- 抵抗力kvi・・・流体が物体に及ぼす力(上向き)
- 浮力ρVg・・・流体が物体に与える力(上向き)
- 重力mg・・・地球が物体を引く力(下向き)
- 上の3つの力は釣り合っている・・・だから物体は等速運動する
- 浮力ρVg・・・流体が物体に与える力(上向き)
- 反作用ρVg・・・物体が流体に与える力(下向き)
- 抵抗力kvi・・・流体が物体に及ぼす力(上向き)
- 反作用kvi・・・物体が流体に及ぼす力
- 浮力の反作用ρVg・・・物体が流体に与える力(下向き)
- 重力Mg・・・地球が水の入った水槽に及ぼす力(下向き)
- 抵抗力の反作用kvi・・・物体が流体に及ぼす力
- N2・・・はかり台の面が物体の入った水槽に及ぼす力(上向き)
- 反作用・・・物体の入った水槽がはかり台の面に及ぼす力(下向き)
はかり台の面が物体の入った水槽に及ぼす力N2(上向き)は水の入った水槽の重力Mgと浮力の反作用ρVg、抵抗力の反作用kviと釣り合っています(力の釣り合い)。
はかりの指針はN2から質量を読み取ります。

以上により物体の速度が終端速度になったら水の入った水槽の質量と物体の質量の和になります。
- 終端速度・・・等速運動と見なす
- 等速運動・・・物体にかかる力が釣り合っている
- 力の釣り合い・・・運動方程式=0
- 物体が水槽の底にあるのと同じ状況
- だから、水槽と物体の質量の和になる
実験3の(5)と(6)の問題は記憶に値する問題だと僕は考えていますので必ず理解してほしいです。