こんにちは。horyです。
今回の記事では数学的帰納法の基本事項と最も基本的なパターンの問題を解説します。
正直、数学的帰納法を学び始めた人は帰納法という証明方法が今までの証明方法とは全く異なるので理解不能になることが多いです。
今回はそんなことが起こらないようにできるだけわかりやすく解説します。
今回も頑張りましょう。
帰納法とは・・・
まず、帰納法とは「方程式」「不等式」で直接的な証明法(演繹法)による証明が難しいときに用いる証明方法です。
自然数や整数が関係する「方程式」・「不等式」で使うイメージがあります。
次の節では証明方法について簡単に説明しますが、「ドミノ倒し」というイメージを持ってほしいです。
帰納法による証明 最も基本的な型
数学的帰納法には3つの証明方法があります。
この記事で解説するのは最も基本的な型です。以下は証明方法です。
- ① n=1を証明する
- ② n=k で等式(不等式)が成立すると仮定 (kは1以上の自然数)
- ⇒仮定を利用してn=k+1 を証明
- ③等式(不等式)が全ての自然数で成立する
先ほど「ドミノ倒し」と言いましたがどういうことかというと、上のことが成立するので・・・
- 「n=1成立」⇒「n=2成立」
- 「n=2成立」⇒「n=3成立」
- 「n=3成立」⇒「n=4成立」
これを繰り返すことで全ての自然数で成立します。だからドミノ倒しということです。
もっと分かりやすい例えで例えると会社で給料アップの交渉をしたいとして・・・
- ①「Aさんが給料アップに賛成」
- ②「Bさんも給料アップに賛成」
- ③「ドミノ倒し的に全社員が給料アップに賛成」
- ④「給料アップ成功!」
みたいな感じです。まぁ、問題で実践してみましょう。
今回は等式と不等式の証明問題をやっていきます。
数学的帰納法の基本的な型 等式証明
以下は今回の記事で取り組む数学的帰納法を用いて解く問題です。

この問題を例に解説します。
問題 解答・解説
問題の解答・解説です。手順通りに帰納法で証明します。

以上より、n=k+1のときも等式が成立することが証明できたので帰納法により全ての自然数で等式は成立します。
ちなみに、証明で数学Ⅱにて習う加法定理を用いています。加法定理に関してはこちらの記事をご確認ください。
ちなみに証明した等式は「ド・モアブルの定理」という数学Cの複素数平面にて非常に重宝する公式なので是非頭に入れておいてください。
余談ですが、ド・モアブルの定理は自然数だけでなく全ての整数で成立します。また、暇な人は上の定理を用いて二倍角・三倍角の公式を導いてみてください(ヒント;実部と虚部に分けること)。
数学的帰納法の基本的な問題 不等式証明
続いては、数学的帰納法の不等式の証明です。等式の証明よりも少々難しいです。

この問題を例に解説します。
問題を解く前の下準備
まずは問題を解く前の下準備です。
二数の大小関係が分かりません。そのため、簡単な数を代入して傾向を掴みます。

この推測を数学的帰納法で証明します。
数列の一般項を求める問題においても数列の一般項を推測して数学的帰納法に落とし込む方法は良くあります。
問題 解答・解説
問題の解答・解説です。

上の二段目の式の分子が0より大きいことを証明できれば勝利です。

よって分子が0より大きいことを示せたので・・・

以上からn=k+1 の時も成立したので帰納的に全ての自然数で不等式が成立することが証明できました。かなり難しい問題でしたが、この問題を解けたら他の問題が簡単に見えるレベルに成長していると思います。