慣性系と非慣性系の違い 原理と本質の理解

力学

こんにちは。Horyです。

今回の記事では物理における慣性系と非慣性系について簡単に解説しようと思います。

物理においてはかなり大事なことなので正しく理解しましょう。

今回も頑張りましょう。

慣性系と非慣性系

慣性系と非慣性系の違いは「座標の取り方」です。

  • 慣性系・・・静止している,または、等速で動く座標系
  • 非慣性系・・・慣性系に対して加速する,または、回転している座標系

慣性系と非慣性系には上のような違いがあります。

基本的に高校物理においては(私が書いた今までの記事でもそうだが)、座標系は静止した座標系(慣性系)を取って運動方程式を立てていますし、問題においても非慣性系を取ることはほとんどありません。

慣性力とは何か・・・

慣性力とは物体が非慣性系で受ける力のことです。

実際に慣性力という力は存在せず、これは非慣性系を設定したときの辻褄あわせとして便宜的に設定しているだけです。

以下に具体例を紹介します。

静止物体についての非慣性系

静止した物体について、加速度a(>0)で正の方向に加速する座標系を設定します。

ただし、座標系は一次元直線座標で初期位置を原点、初期速度を0とします。

このとき、原点で静止した物体の運動方程式を考えます。

まず、静止した慣性系で運動方程式を考えると以下のようになります。

当たり前のことです。静止した座標系で物体は常に原点にいて動かないのですから力は働いていません。

一方で、加速する座標系(非慣性系)を取って、この座標系を基準とした運動方程式を立ててみます。以下に図を用意します。

座標について考えます。座標の速度や進んだ距離を考えると以下のように設定できます。

一方で、静止した物体を加速している座標系から見ると、加速度aで物体が遠ざかっているように見えます。だから、非慣性系の運動方程式として物体の運動方程式を以下のように記述できます。

上の運動方程式が非慣性系から見たときの物体の運動方程式です。

勘違いしないでほしいのが物体は動いていません。座標が動いているというだけです。動いてる座標から見たときの運動方程式を立てただけに過ぎません。

一次元直線上で加速する座標系から見たとき、物体は座標系が加速する方向と逆向きで大きさF=maの慣性力を受けると言うことができます。

加速する台上で静止する物体

加速する台上で静止する物体(台と一体になって運動する)を考えます。

台は一定の加速度aで静止座標軸の正の向きに運動するとします。

まず、静止した慣性系で物体の加速度の関数を考えると以下のようになります。

当たり前のことです。静止した座標系から見たら物体は台と一体で運動するので加速度aで遠ざかるのですから・・・

一方で、台と同じ加速度で加速する座標系(非慣性系)を取って、この座標系を基準とした運動方程式を立ててみます。以下に図を用意します。

座標について考えます。座標の速度や進んだ距離を考えると以下のように設定できます。

台と一体で加速する物体の運動を加速する台の上から見ると物体は台上で静止していますよね。つまり、台の上から台上に静止した物体を見ると運動していないように見えるわけです。

さらに、日常的な例に示すと・・・

  • エレベーター内にある物体の上昇・下降
  • 地上から物体を見る→物体は上昇・下降 (慣性系から見た物体の運動)
  • エレベーター内で物体を見る→物体は静止 (非慣性系から見た物体の運動)
  • 電車内にある物体の運動
  • 地上から物体を見る→物体は電車と共に運動 (慣性系から見た物体の運動)
  • 電車内で物体を見る→物体は静止 (非慣性系から見た物体の運動)

まとめ・・・

最後に、慣性系と非慣性系のどちらを使えば良いの?と思うかもしれませんが・・・

基本的に私たちが学ぶ物理は静止した座標系(慣性系)から見て、運動方程式を立てています。実際に私が今までに解説した記事でもそうしています。

基本的にわざわざ非慣性系は設定する意味はないです。なので、私たちは運動方程式を立てるときに特段、問題に指示がなければ必ず、静止した座標系(慣性系)を設定して運動方程式を立ててください。

また、口酸っぱく言いますが、慣性力という力はありません。

慣性力というのは非慣性系から物体の運動を考えるときに辻褄あわせのために便宜的に導入するものであるに過ぎません。

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