こんにちは。horyです。
今回は微分の話です。微分と聞くと理系ではよく聞く言葉ですが、みなさん、本質と目的を分かっていますか?
今回の記事では「微分とは何か?」について解説すると共に、微分の本質と目的を簡単に説明します。
数Ⅲの内容も登場しますが、文系の方にも分かりやすく説明するので文系の方も恐れずに取り組んでください。
今回の記事は重要度で言えば今までの記事と比較にならないほど高いです。この記事の内容を理解しなければ微分の本質を分からないままだと思うので必ず理解してください(特に理系は)。
今回も頑張りましょう。
微分とは何か?
そもそも、微分というと非常に難しい言葉に聞こえますが、本質的には「関数において、二点を通る直線の傾きを求めている」だけに過ぎません。
以下に簡単な問題を出します。
問題 微分を理解する準備 その1
以下は微分を理解する準備のための問題です。

この問題を例に解説します。直線の方程式の求め方は以下に載っているので読んでおいてください。
微分を理解する準備 その1 解答・解説
微分を理解する準備 その1 解答・解説です。
直線ABの方程式を求めてみます。普通に求めれば良いです。

求めた解答を座標平面上に図示します。

微分を理解する準備 その2
以下は微分を理解する準備のための問題その2です。

微分を理解する準備 その2 解答・解説
微分を理解する準備 その2 解答・解説です。
直線ABの方程式を求めてみます。普通に求めれば良いです。

求めた解答を座標平面上に図示します。

微分を理解する準備 気づいたこと
先ほど、微分を理解する準備で気づいたことがいくつかあると思います。
以下に気づいたことを箇条書きに書きます。
- (1)→(4)になるにつれてAB間の距離が近くなっている
- その1でBのx座標はAのx座標より大きい
- その2でBのx座標はAのx座標より小さい
ところで、AB間の距離(幅)が目にも見えないくらい小さくなったとき、直線はどうなってしまうのでしょうか・・・
BをAに近づけていくと、いずれは点Aでの接線になるのではないでしょうか?
準備でのことを数式で表現する
ところで、準備1と準備2で傾きをどのように求めたか数式で表現してみましょう。
ここからは、極限の概念が出てきますが、文系の方でも安心してください。分かりやすく説明します。
ただし、座標は以下のように設定します。

準備1


準備2


関数が連続
関数が点Aで連続とは「関数が点Aで途切れていない」と言うことです。
これを数式で表すと以下のように表せます。

- 関数のx=aにおける左右の極限が一致⇔関数は「x=a」で連続
- 関数のx=aにおける左右の極限が不一致⇔関数は「x=a」で不連続

「y=x」のような関数は全ての実数で連続であると言えます。何故なら、「直線が途中で途切れることはないからです。」一方で、「ガウス関数」のような関数は連続でない点も存在します。
関数が点Aにおいて微分可能なら、関数は点Aで連続(途切れていない)です。一方で不連続な点での微分は不可能です。
関数が微分可能
関数が点Aで微分可能というのは、関数が点Aで連続であることを大前提として、以下の公式が成立することです。

上記の等式が成立することで、点Aでの接線の傾きが定義できます。
以下の2つのことが非常に大切です。
- 「関数が点Aで微分可能」ならば、「関数が点Aで連続」・・・必ず成立
- 「関数が点Aで連続」ならば、「関数が点Aで微分可能」・・・必ずしも成立しない
導関数・微分係数・微分記号
微分の本質や目的が分かったところで・・・
関数f(x)は全ての実数について連続で微分可能としましょう。関数上の任意の点A(x, f(x) )での接線を考えます。

上の式は微分係数の定義式と呼ばれるます。微分の定義式は二点間の幅をhとする式で覚えた方が良いです。
また、「定義に沿って接線を求めろ」・「微分可能か?」の指示が問題文にあったときはこの定義式に代入して問題を解きます。f’(x)のことを導関数と呼びます。
導関数の表し方は複数あります。

また、f’(x)に特定の値を代入すると接線の傾きが数値となって導出されます。導出された値を微分係数と呼びます。
最後に
今回の内容はかなりヘビーだったので人によっては消化不良を起こすかもですが、微分公式を暗記し機械的に行うのではなく、定義を理解し本質的な部分から理解することでやっている操作の意味が分かると思います。
余談ですが、「連続」や「微分可能」は数Ⅲの内容ですが、文系の方でも意味は理解しておいた方が良いと思います。基本的に数Ⅱの関数は全ての実数で微分可能でかつ連続なので安心してください。
また、極限や微分係数の求め方について、上の方法は大学の数学では通用しません。というのも、二点間の距離を「近づける」とありますが、「距離が近い」というのは人によって異なるからです。これを克服したのが「イプシロンデルタ論法」です。いずれ記事に書くときが来るかもしれません。