こんにちは。Horyです。
前回は力学で扱う力の1つである重力について解説しました。
重力が地球表面で働く万有引力ということを学びました。
今回の記事では張力とは何かについて簡単に解説します。
今回も頑張りましょう。
張力って何なんだ・・・
物体にヒモをつけてヒモを垂らす状況を考えます。以下の図を見てください。

ここで、力について簡単に解説します(文字で示しますが、力の大きさ(スカラー)とします)
- 重力;Mg・・・地球が物体を引く力(万有引力)
- 張力;T・・・張っている紐が物体を引く力 (紐がたるんでるなら張力は0[N])
- 重力と張力は釣り合っている・・・力の釣り合い
- 張力;T・・・張っている紐が物体を引く力
- 反作用・・・物体が紐を引く力 (図には書いてないが)
- 作用反作用の法則が成立
絶対に間違ってはならないのは「重力の反作用が張力だ」というふうに考えてはいけません。張力の反作用は「物体が紐を引く力」です。
紐の運動方程式
ところで、高校物理では紐につながれた2つの物体に力を与えたとき、運動方程式を立てるのは物体だけで、紐に関する運動方程式は立てません。
でも、「紐も運動しているのだから運動方程式を考えなければいけないんじゃないの?」と思います。間違ってないです。本来であれば紐の運動方程式も考えなければなりません。
ただ、高校物理においては、紐が出てくるとき、問題文で紐について「軽くて細く、たるまない糸」という条件が出ます。
ここで、暗黙の了解ですが・・・
- 軽い・・・質量を0[kg]と見なしても良い
- 細い(薄い)・・・厚みを0[m]と見なしても良い
- たるまない・・・張力が0[N]になることがない(常にピンと張っている)
上の3つの軽い・細い・たるまないが出たら上のように考えるのが暗黙の了解になります。
軽い糸の運動方程式
軽い糸の場合は糸に対する運動方程式を無視できると言いましたが、本当にそうなっているか実際に確かめてみます。図の状況を考えます。

一次元直線上を運動しているとして力をベクトル表記しました。それぞれの力について紹介します。

紐に働く力は上の4つの力の内、括弧の部分を赤く書いた力です。
紐に対する運動方程式を立ててみます。ただし、軽い糸のため、質量が0[kg]であることを覚えておきましょう。

上のことから質量が0[kg]と見なせる軽い糸が与える張力の大きさはどこでも等しいです。
問題1 紐でつながれた2物体の運動
張力についての簡単な問題です。


鉛直上向き(進行方向)を座標軸の正の方向として、それぞれの物体に働く力を考えます。
- 質量M[kg]の球に働く力
- F・・・物体に与えられる一定の力 (上向き・・・正の方向)
- Mg・・・重力_地球が物体を引く力 (下向き・・・負の方向)
- T・・・張力_糸が物体を引く力 (下向き・・・負の方向=糸がたるむ向き)
- 質量m[kg]の球に働く力
- mg・・・重力_地球が物体を引く力 (下向き・・・負の方向)
- T・・・張力_糸が物体を引く力 (上向き・・・正の方向=糸がたるむ向き)
問題1 解答・解説
問題1の解答・解説です。手順は以下の通りです。
- ①;二物体にそれぞれ運動方程式を立てる
- ②;連立方程式で張力の削除
- ③;加速度を求める
上の3ステップで問題を解きます。

上の式における赤い部分が加速度で、青い部分が張力です。
問題2 質量がある紐の張力
問題2は質量がある紐の張力です。

この問題を例に取り組みます。ここで、暗黙の了解ですが、「一様な」と問題文で出たら「どの場所でも密度が一定」と考えてください。
以下に図を示します。

このような問題でも恐れることはないです。こういうときに使えるのが単純化です。
紐のA側とB側に分けて2物体が糸(目に見えないくらい小さい・・・目に見えないくらい小さい紐の張力を一定と見なしてもいい)でつながれていると考えて(下の図)運動方程式を立てれば良いだけです。
- AとBのつながれている部分の長さをdx[m]とする
- dx[m]はものすごく小さいとする
- 両端での張力を近似的にTで一定と見なす(めっちゃ小さいから)
問題2 解答・解説
運動方程式をA側とB側の物体に分けて立てます。

密度が一様なのでA側とB側の質量は長さに依存します。これは注意してください。