こんにちは。Horyです。
不等式の証明で定積分による評価を用いて証明する方法があります。
多くの学生が定積分による証明を苦手としていると私は考えております。
今回の記事では定積分を用いた不等式の証明方法を簡単にまとめます。この記事では問題はほとんど紹介せず(問題は別の記事で触れます)、網羅的な攻略法を書きます。
今回も頑張りましょう。
不等式の証明
不等式の証明を定積分の評価で示せることがあります。
主に以下の2つの方法が考えられます。
- 関数値の差により証明する
- 多項式により近似する
上の二点についてちょっとした例を示します。
関数値の差による近似
関数値の差による不等式の証明です。
以下の不等式を成立することを示します。

ここで、関数値(積分の値)で証明するのでグラフの面積で考えましょう。

上の赤い斜線部が不等式におけるそれぞれの面積です。このように面積の大小で評価する方法です。
非常に重要なやり方なので必ず頭に入れておいてください。
多項式近似
多項式近似による証明を行います。
例として三角関数で不等式を証明しましょう。

さて、これを無限に繰り返していくとsinとcosのマクローリン展開を得ることができます。マクローリン展開についてはこちらの記事をご覧ください。
定積分による評価法の手順
続いて、定積分の評価法の手順を紹介します。
プロセスとしては以下の方式で行います。

上の方法はまぁ納得できると思います。皆さんが知りたいのはどうやって不等式を作るかですよね。以下に紹介します。
①被積分関数の一部を挟む
グラフの単調増加性・減少性や凸性・接線・弦を用いて不等式で挟みます。以下に例を紹介します。

②①で挟んだ不等式から新しい形を作る

この2ステップで行います。上で求めた不等式でn→∞にしてみてください。はさみうちの原理から真ん中の式は0に収束します。
このように評価を行います。ただし、以下のことは注意する必要があります。

この2点を注意点として意識してください。
和による評価 (Σでの評価)
和による評価を行います。よくデルものとして、以下の和は絶対に計算することはできません。

これらに関する評価が出てきたら以下の方法を使うのがお勧めです。
- ①;区分求積法
- ②;グラフを準備して面積を可視化⇒定積分による評価(めっちゃ使う)
区分求積法に関する記事はこちらです。
最後に・・・
結局、このような評価方法ってどこで使うのって思うかもしれませんが、使うときは結構あります。
というのも、高校数学までで積分できない関数はかなり多いです(今まで練習してきた関数はたまたま積分ができるモノで、そもそも、関数全体を見れば積分できる関数は珍しい)。
そんなときにどうすればいいかといわれたら面積の比較・挟み撃ちによる極限で近似的に導出するしかないのです。
このような積分による評価が近代数学を発展させてきたといっても過言ではありません。
とまぁ、このように説明しても問題をこなして慣れるしかないと思います。というわけで、次回からは問題に取り組みます。