こんにちは。Horyです。
数学に関する記事も一通りは終わってこれから物理の記事を書き始めます。
物理に関する記事を書き始める前に私が物理 (物理だけでなく数学・化学・生物も含む自然科学)を学ぶに当たって意識すべき重要なことをこの記事にまとめたいと思います。
この記事は物理だけでなく世の中の様々なことに当てはまることであり、学問に対してどのように向き合うべきかの根本も書かれた記事だと考えているので必ず読んでいただきたい記事になります。
物理とはどういう学問か・・・
物理を初めとした自然科学は「自然現象がどういったメカニズムで起きているかを解き明かし、このメカニズムを原理・法則・図などを駆使して誰にでも分かりやすいように日本語で”説明する”」と言うことが目的の学問であると考えています。
上の「誰にでも分かりやすいように日本語で説明する」というのが大切です。
以下は「誰にでも分かりやすく日本語で説明する」ために必要な能力です。
- 原理・法則の理解を完璧にした後に演習を行う
- 原理・法則式の数学的な意味を説明できるようになる
- 原理・法則式の物理的な因果関係を説明できるようになる
- 原理・法則式の導出を頭の中だけで行わずに必ず手で書いて導出すること
- 次元(物理単位)の重要性を理解し、次元検算を行うこと
これらについて個別に解説します。
原理・法則の理解を完璧にした後に演習を行う
原理・法則の理解を完璧にした後に演習を行うことです。
物理には3つの要素があります。
- ①物理原理・原則・・・どんな場合であっても必ず成立する
- ②物理法則・・・原理・原則から導くことができる法則
- ③問題集とかの問題・・・普通に考えて現象として起こらない
上の要素の中で①が上流工程(最も大切)で③が下流工程(最後にやるところ)です。要するに、原理・原則・法則の理解に最も時間を掛けて、問題集とかの演習問題は最後にやれと言うことです。
実際に力学で具体例を示します。
- ①;力学の原理・原則は運動方程式 (電磁気学ならマクスウェル方程式)
- ②;力学の法則例は運動量保存則 (あくまで複数ある中の1つです)
- ③;力学の問題集の問題は等加速度運動 (あくまで複数ある中の1つです)
上の例を説明すると、①の力学の原理・原則は運動方程式でこれはどんな場合でも必ず成立します。また、②の運動量保存則は運動方程式から導かれる物理法則です。
一方で、③の等加速運動(物体の速度が単位時間(1秒)ごとに一定値増加する運動)を考えてみてください。自然界で完全に一定の加速度で運動する物体なんて存在するのでしょうか?
要は、何が言いたいのかと言うと、物理(力学)をやり始めた学生は原理・原則・法則の理解を後回しにして等加速運動の3つの公式を必死に覚えることにリソースを割いているように感じます。こういったことを今すぐにやめてほしいということです。
原理・法則式の数学的な意味を説明
原理・法則式の数学的な意味を説明できるようになることです。運動方程式を例に話を進めます。ただし、物体は直線上(一次元)を運動し、右向きを正にとる。物体は右向きに運動するとします。

この式の数学的意味を考えます。ここで、重要になるのはベクトル量とスカラー量です。別の記事でも話しますが、こちらの記事を読んでおいてください。
運動方程式の数学的意味は「加速度ベクトルのスカラー倍(質量倍)は力ベクトルである(ベクトルのスカラー倍はベクトル)」です。
このように、原理・原則式や法則式を見たら数学的意味を日本語で説明できるようになってください。
ベクトルとスカラーに関しては言いたいことが山ほどあるので別の記事にまとめます。
ベクトルとスカラーの区別は絶対に意識してください(式の一方がベクトル量で他方がスカラー量とかはあり得ない)。
原理・法則式の物理的な因果関係を説明
原理・法則式の物理的な因果関係を説明できるようになることです。
先ほどの運動方程式で考えます。

因果関係とは「原因・結果」のことです、つまり、「何が原因」で「どういう結果」になったのかを日本語で説明することです。
運動方程式では原因と結果は以下の通りです。
- 原因・・・物体に力が加えられた
- 結果・・・物体に加速度が生じて物体が動いた
原理・原則・法則の数学的意味と物理的因果関係を説明できなければ、物理現象を説明することはできません。
頭の中だけで行わずに必ず手で書いて導出
物理において、原理・原則は覚えなければなりません。ただ、原理・原則を用いて導き出せる法則については必ず導出過程があります。
ここで言いたいことは、導出過程を頭のなかだけで行わず、必ず自分で紙に書いて導出してほしいということです。
何度も言いますが「日本語で誰にでも分かりやすく説明する」ことが目的です。机上論で頭の中だけで考えても絶対に説明できません。
次元検算の重要性
次元検算の重要性についてです。
ところで、皆さんは小学生の頃にこんな図を見たことはありませんか?

誰もが一度は見たことがある上の「きはじ」とか「くもわ」についてですが、僕はこの図は日本の教育レベルを下げる一因になったものだと考えています。何故なら、上の図は次元検算の重要性を無視しているからです。
だから、以下のような問題でとんでもない解答をする学生が出てきます。例を示します。

「きはじ」にあてはめることでこのようなミスが生まれます。
このようなミスを可能な限り減らす方法が次元検算です。以下に例を示します。

上の式の赤い部分を見てください。確かに次元(単位)が一致しています。また、答えも間違ってないです。
このように次元検算を行うことでミスを減らすことができます。次元検算ができるようになるには物理に出てくる量の単位を覚える必要があります。
これに関しては別の記事に詳しく書きます。
物理の勉強でやめた方がいいこと
以下は私が考える物理の勉強でやめた方がいいと考えていることです(というか勉強全般です)。
- 法則や公式の丸暗記
- イメージだけで解決しようとする
- 異なる学問を比較し優劣を決めること
上の3つのことはやめた方がいいと個人的に考えています。理由を個別に説明します。
法則や公式の丸暗記
物理法則・公式の丸暗記は絶対にやめてほしいです。
口うるさく言いますが、「現象を日本語で誰にでも分かりやすく説明すること」が目的です。丸暗記なんかしたら絶対にできません。
必ず、原理・原則から導き出される法則の本質を理解し、「なぜ?」に答えれるようになってください。これができるようになるには先ほど言った通り頭の中だけで考えずに、手を動かして法則を導出してください。
ただ、こんなことをいう人もいます。「確かに、その考え方は的を射てるけど、物理法則を導出するには高校の指導範囲から大きく逸脱したことを教えなければならず、そんなことはできないのではないのか・・・」という意見です。
これについては、この記事の最後の方で話します。
イメージだけで解決しようとすること
よく、「物理はイメージだ!」という人がいます。僕はこの考え方を全否定はしません。
ただ、「イメージだけ」になってしまうことは絶対にあってはなりません。
しつこいですが、物理は「現象を日本後で誰にでも分かるように説明する学問」です。イメージだけで説明したとして、仮にそのイメージが正しかったとしても説明する相手が納得できるでしょうか?
また、力学などの目に見える学問であれば、イメージは約に立つと思いますが、電磁気学・熱力学・量子力学などの目に見えない分野をイメージだけでゴリ押すことなんて絶対にできません(分子の運動や電子のスピンは目で見えない)。
自分の中にあるイメージや目で見えない分野を説明する際に根拠や説得力を持たせる手段が数学・物理の原理・原則・公式です(大学の研究では実験データを原理・法則に基づいて解析した解析データであったりする)。
だから、イメージだけで物理はできません(イメージだけでできるなら原理とか法則は必要ないです)。
異なる学問を比較し優劣を決めること
異なる学問を比較して優劣を決めることも絶対にやめてほしいです。
- 数学は数学の方法を用いて議論
- 物理は物理の方法を用いて議論
- 化学は化学の方法を用いて議論
- 生物は生物の方法を用いて議論
「数学は他の学問よりも厳密だ」とか言っている人がいますが、数学は厳密ではないです。
例えば・・・

以下の解答ですが、厳密ではないです。厳密であるのであれば「x=1.41421356・・・」となるはずです。上の解答はそのようになることを「√(ルート)」を用いてごまかしています。
異なる学問を比較して優劣を決めることはできません。このようなことをすると、自分が浅く見られる原因になるのでやめた方がいいです。
最後に・・・
最後に、高校物理の説明に高校の範囲を大きく逸脱した数学や物理を用いてもいいのかという点です。
要は「微積物理を使わない派」と「微積物理を使う派」の論争です。
両方の意見を紹介します。

どちらの意見も否定しません。ただ、僕の考えは「本質から分かりやすく説明すること」を目的とした記事を書くので大学内容の数学や物理にも踏み込みます(大学数学や大学物理の内容でも分かりやすく説明すればいいだけです)。
特に、数学に関しては物理で用いる数学の記事を「物理数学」というカテゴリにして説明します。以下は説明する数学です。
- 微分積分学 (偏微分や全微分、多重積分など・・・)
- ベクトル解析 (外積や微分演算子など・・・)
- 微分方程式
これから頑張りましょう。