こんにちは。Horyです。
高校物理の力学で学習する力について、これまでに重力や張力を学びました。
今回の記事では抗力について解説します。今回も非常に重要な内容なので必ず理解してください。
今回も頑張りましょう。
抗力とは・・・
まず、「抗力とは?」聞いて皆さんは「垂直抗力」と答えますが、これは間違っていませんが、正確な答えではありません。
まず、「抗力」とは「物体が接している面から受ける力」です。
つまり、物体が床や壁に接しているときに壁や床が物体に及ぼす力を抗力と呼びます。
そして、抗力をベクトルで考えたとき、物体が接している面について垂直な抗力の成分を垂直抗力と呼びます。
また、抗力をベクトルで考えたとき、物体が接する面について水平な抗力の成分を摩擦力と呼びます。
例えば、摩擦のある斜面(物体の接する面が斜面であることに注意)での物体の抗力・摩擦力・抗力を考えると以下の図のようになります。

ここで、学んだ事をまとめます。
- 抗力・・・物体が接する面から受ける力
- 垂直抗力・・・抗力の接地面垂直成分
- 摩擦力・・・抗力の接地面水平成分
ここで、口酸っぱく言いますが、物体が接する面に対して垂直・平行な成分であることに注意してください。つまり、物体が接する面が「水平面」か「斜面」かで考え方が変わると言うことです。
垂直抗力について・・・
垂直抗力は抗力の1つです。
先ほど説明しましたが、物体の接地面について、抗力の垂直成分を垂直抗力と呼びます。
ここで、物体が水平面に接しているときと斜面に接しているときの垂直抗力を考えます。
以下に図を示します。

- 水平面の場合
- 物体にかかる重力(mg)と垂直抗力(N)が釣り合っている(力の釣り合い)
- mg=N⇔だから、物体が水平面に沈んだり・浮いたりしない
- 斜面の場合
- 物体にかかる重力の斜面垂直方向の成分(mg cosθ)と垂直抗力(N)が釣り合っている
- mg cosθ=N⇔だから、物体が斜面に沈んだり・浮いたりしない。
上の例を見ると垂直抗力は物体が接している面によって値が異なります。そのため、垂直抗力は未知数で物理の問題ではNとかって置きます。
静止摩擦力について・・・
物体が接している面について(水平面でも斜面でも)、静止している時に物体が面から受ける力を静止摩擦力といいます。
また、静止摩擦力の中で、物体が滑る直前での静止摩擦力を最大摩擦力と言います。
最大摩擦力は静止摩擦係数(μ)と垂直抗力Nによって以下のように表されます。

- 静止摩擦係数・・・物体が接する面の材質によって値が異なる(湿度・気温も関係する)
- 垂直抗力・・・物体が接する面(の角度)によって値が異なる
静止摩擦力は物体の運動を妨げる向きに働きます。注意してほしいのが静止摩擦力と最大摩擦力の区別です。以下の図をご覧ください。

- 物体が静止=静止摩擦力・・・物体にかかる力と摩擦力が釣り合っている
- 物体にかかる力をこれより強くすると動く=最大摩擦力・・・物体にかかる力と摩擦力が釣り合っているが、力をこれより強くすると力の釣り合いが成立しない⇒物体が力の方向に動く
- ・最大摩擦力は静止摩擦力の一種
動摩擦力について・・・
物体が接している面について(水平面でも斜面でも)、物体が滑っている時に物体が面から受ける力を動摩擦力といいます。
動摩擦力は動摩擦係数(μ’)と垂直抗力Nによって以下のように表されます。

動止摩擦力は物体の運動を妨げる向きに働きます。以下の図をご覧ください。

上の図で物体にかかる力と動摩擦力は釣り合っていません。だから物体は斜面を滑ります。つまり、運動すると言うことです。