力学 拘束条件 まとめ 原理と本質の理解

力学

こんにちは。horyです。

物理の力学には拘束条件という条件があります。ただ、拘束条件という言葉自体は知っていても意味を理解できている人は少ないと思います。

今回の記事では拘束条件とはどのような条件であるかを簡単に解説すると共に簡単な例をいくつか示したいと思います。

今回も頑張りましょう。

拘束条件

拘束条件について話す前に力学の目的は「物体について運動方程式を立てて未来を予測する」ことにあるということは以下の記事で説明しました。

拘束条件はこの逆を行うわけです。つまり・・・

  • 力学の目的・・・物体にかかる力から運動方程式を立てて未来を予測
  • 拘束条件・・・先に物体の未来を予測して、物体にかかっている力を特定する

以下に具体例をいくつか示します。

静止した物体・等速運動する物体

まずは、最も簡単な例である一次元直線上を静止した物体・等速運動する物体についてです。

運動方程式について以下のことが成立します。物体の初期位置の座標をx=0[m]とします。

上の式に示す赤い部分が拘束条件です。「加速度が0であるから力が働いていない(釣り合っている)」と言うことが分かります。

「等速・静止」という未来を予測して受ける力を割り出しました。

水平面上・斜面上を運動する物体

水平面上や斜面上を運動する物体についても拘束条件は成立します。

座標軸を図のように取るとして、物体は水平面上・斜面上を運動するとします。

y軸での拘束条件について以下のことが成立します。

拘束条件から物体にかかる力が釣り合っていることが分かります。

  • 水平面上の運動
  • 地球が物体を引く重力
  • 水平面が物体に及ぼす垂直抗力
  • 2つの力が釣り合っている
  • 斜面上の運動
  • 地球が物体を引く重力の斜面垂直成分
  • 斜面が物体に及ぼす垂直抗力
  • 2つの力が釣り合っている

上の式に示す赤い部分が拘束条件です。「y軸の加速度が0であるから力が働いていない(釣り合っている)」と言うことが分かります。

「水平面上・斜面上」という未来を予測して受ける力を割り出しました。

糸で繋がれた2物体の運動

以下の図に示すように糸で繋がれた2つの物体の運動を考えます。2つの物体の質量をそれぞれm,M[kg]として、M>mとします。

図のような状態を考えて、2物体に関してそれぞれ以下のような座標軸を立てます。2物体の初期位置をそれぞれ(x=0, y=0)とおいて、糸の張力をTと置きます。

ここで、暗黙の了解として「糸は軽くて細く、伸びたり・たるんだりしない」と考えます。

2物体が糸で繋がれていることがポイントです。つまり、質量mの物体に繋がれた糸と質量Mの物体に繋がれた糸の接点の移動距離は同じと言うことです。

だから、2物体の移動距離は同じと言うことになります。

  • 質量mの物体が上に進んだ距離
  • 質量Mの物体が上に進んだ距離
  • この2つが等しい

上の式の赤い部分が拘束条件です。

つまり、2物体の加速度(座標軸を図のように取ればベクトルでも大きさでも等しい)は等しいと言うことです。

拘束条件の破綻

先ほどの説明について、拘束条件で大事な力が何か察していると思いますが念のために説明します。

力学の拘束条件で大事な力は3つあって「静止摩擦力・垂直抗力・張力」です。

  • 静止摩擦力について
  • 物体が静止
  • 力が働いていないor力が静止摩擦力と釣り合う
  • 垂直抗力について
  • 水平面上・斜面上を運動
  • 重力と垂直抗力で力が釣り合う
  • 張力について
  • 糸で繋がれた2物体の運動
  • 物体の移動距離が等しい
  • 加速度は同じ大きさ

ここで、拘束条件の破綻について説明します。

拘束条件が破綻すると運動方程式を作り直さないと行けません。

なぜなら、拘束条件により先に未来を予言できたことで力を特定できましたが、これが破綻するとかかる力が違った物になるからです。

拘束条件が破綻するのは上の3つの力でそれぞれ以下の事象が起こったときです。

  • 静止摩擦力
  • 物体が滑り始める(最大摩擦力より大きい力が働く)
  • 垂直抗力
  • 物体が水平面上や斜面上から離れる
  • (垂直抗力が0に・・・)
  • 張力
  • 糸がたるむ・切れる
  • (張力が0に・・・)

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