こんにちは。Horyです。
前回の記事で化学結合に関して簡単にまとめたと思います。その中で分子間力に関しても話しました。
今回の記事では分子間力の種類とそれぞれの原理について簡単に解説します。
今回も頑張りましょう。
分子間力について・・・
まず、分子間力とは分子間に働く弱い力のことです。
分子間力の種類は以下の通りです。上から弱いもの順に紹介します。
- ファンデルワールス力
- 極性引力
- 水素結合
これらに関して個別に解説します。
ファンデルワールス力
最初にファンデルワールス力に関してです。これは、全ての分子に働く力です。
以下にファンデルワールス力が働くプロセスをまとめます。
- 分子内で電子が移動(周回運動)
- 分子間で瞬間的に正電荷or負電荷が発生
- 分子間に引力が発生・・・ファンデルワールス力の正体
以下に示すのはファンデルワールス力の傾向になります。
- 分子量が大きければ大きくなる→電子量の増加
- 分子の枝分かれが少ない→分子同士の接近(距離の6乗に反比例)
以上に示すのがファンデルワールス力を増加させる因子で、これが大きくなると融点・沸点は当然、高くなります。
有機化学の論述問題で上のことを答えさせる問題があります。
ちなみにですが、上の傾向はロンドン方程式という物理の方程式で体系化されています。気になる人は調べてみてください。
極性引力
極性引力に関してです。
極性・無極性に関しては前回の記事でも解説したとおりで、分子内の原子において、電気陰性度に差があって、かつ、正電荷と負電荷の重心が一致しないと極性が発生します。
極性引力とは極性分子における正電荷と負電荷における引力のことを言います。
分子量が同程度であれば、極性分子の方が無極性分子と比較して融点・沸点は高くなる傾向にあります。
水素結合
水素結合に関してです。これも頻出する内容になります。
水素結合と言われてるだけ合って水素が絡むのですが、水素が電子を一個だけしか持たないことが重要なのです。
ところで、皆さんは電気陰性度に関して覚えているでしょうか・・・
これは、「俺の電子は俺のもの、お前の電子は俺のもの」というジャイアニズムの強さを表していると説明しました。
電気陰性度の強い原子をまとめると・・・
- F (フッ素)・・・電気陰性度4.0で最大
- O (酸素)・・・電気陰性度3.5
- N (窒素)・・・電気陰性度3.0
これらは、自分の電子を離さず、相手の電子を奪おうとします。だから・・・
- F,O,Nに水素が結合
- 水素の1個だけの電子が奪われた形になる
- 水素は電子が1個・・・原子核が露出した形になる
- 原子核が露出・・・正電荷の露出
- 露出した正電荷に別のF,O,Nが引きつけられる・・・水素結合の正体
ちなみに、引きつけられるのはF,O,Nの非共有電子対です。
また、水素結合の強さは電気陰性度の大きさに依存するのでF>O>Nの順になります。
だから、フッ化水素(HF)、アンモニア(NH3)、水(H2O)は融点や沸点が高くなる傾向にあるのですね。
これら3物質の水素結合の数を考えると・・・
- フッ化水素
- 分子内非共電子対3個・水素数1個
- 水素結合3個
- アンモニア
- 分子内非共有電子対1個・水素数3個
- 水素結合3個
- 水
- 分子内非共有電子対2個・水素数2個
- 水素結合4個
上のことを考えて沸点の高さを予想してみてください。自習にします。
ヒントは以下の通りです。
- 水素結合できる数は・・・
- 電気陰性度の強さは・・・
- 水素結合の数の方が影響は大きい