こんにちは。Horyです。
前回の記事では線積分について簡単に解説するとともに、線積分を用いて「力により物体がされる仕事(力が物体にする仕事)」の基本的な問題を解説しました。
この記事の中で線積分が可能な力は3種類あり、そのうちの一つが保存力であることも説明しました。
今回は保存力について解説したのちに位置エネルギーについて解説します。
保存力について・・・
保存力とは「始点と終点が同じであれば、物体がどのようなルートを通って移動したとしても線積分の量(物体がされる仕事)が同じになる力」のことを言います。
保存力があれば当然ですが、非保存力も存在します。ちょっと例を示します。
- 保存力(経路に依存しない)
- 力学なら・・・重力・弾性力
- 電磁気なら・・・クーロン力
- 非保存力(経路に依存する)
- 力学なら・・・動摩擦力(移動距離に依存する)
- 不明な力
- 力学なら・・・垂直抗力(ただ、微小変位ベクトルと常に垂直のため仕事は0)
上に出した力が何故保存力であるかはいったん置いておいてください。
そして、保存力の定義と上に示す有名な保存力は暗記してください。
保存力がする仕事(=物体が保存力にされる仕事)
図に示すように、物体が始点Aから終点Bに移動するとします。

ここで、新たに点Cを登場させてこの点を基準点とします。
ここで、AからBに向かう2つのルートを考えます。重要なのは保存力のする仕事は経路によらないと言うことです。
- A→B (直接行く)
- A→C→B (基準点を経由する)
また、保存力のする仕事を以下のように定義します。
- C→Aで保存力のした仕事・・・「-Ua」
- A→Cで保存力のした仕事・・・「+Ua」
- C→Bで保存力のした仕事・・・「-Ub」
- C→A→Cで保存力のした仕事は0→保存力の定義
保存力の定義から同じ点に戻ってきたら保存力のする仕事は0になる(そうじゃないとおかしい)
保存力の定義から「A→B」と「A→C→B」で保存力のした仕事は同じです(経路によらない)。
よってA→Bの保存力のした仕事は以下のように書けます。

以上から始点と終点が変わらなければ経路によらず上のように描くことができます。
また、基準点CからAまたはBまで物体に働く保存力を線積分したものにマイナスをつけたものを位置エネルギーと言います。
何でマイナスが着くのかは位置エネルギーを実際に導出する際に実感できると思います。

次の項からは重力と弾性力において位置エネルギーを導出してみます。
位置エネルギーの導出
以下の2つの位置エネルギーを導出します。
- 重力の位置エネルギー
- 弾性力の位置エネルギー
重力の位置エネルギー
重力の位置エネルギーを求めます。
図のように質量m[kg]の小物体が原点O(基準点 地上)から原点からの高さがh[m]のBまで移動したときの点Bにおける位置エネルギーを求めます。

上の図のように座標軸を取ると重力は負の方向の力です。
ここで、「保存力がする仕事は経路によらないこと」を最大限利用します。
O→Aで直接求めることは不可能です。そのため、Bを経由して直線的に「O→B→A」で重力(保存力)のする仕事を求めます。
これであれば直線上を一定の力を得て運動する物体と考えることができるので位置エネルギーを求めることができそうです。

- O→Bについては力と微小変位ベクトルのなす角度は0→重力のする仕事=mgh
- B→A については力と微小変位ベクトルのなす角度は90°→重力のする仕事=0
線積分の定義を考えれば当たり前のことです(線積分は力ベクトルと微小変位ベクトルの内積)。
弾性力の位置エネルギー
弾性力の位置エネルギーを考えます。
バネが自然長の時の位置を基準点Aとして点B(X)まで伸ばした(縮めた)時の、基準点から見た点Bの位置エネルギーを求めます。

