こんにちは。Horyです。
前回の記事ではベンゼンの配向性について解説しました。
今回の記事は前回の記事を理解した前提で書きますので必ず読んでおいてください。
今回の記事はベンゼンの配向性に関して窒素が絡むモノを紹介します。
具体的にはTNTの製法やジアゾ化の原理に関してデス。
TNTと言えばマインクラフトにも出てくるアレです。
今回も頑張りましょう。
TNTの製法
TNTの製法に関して簡単に解説します。手順は以下の通りです。
- トルエンの用意 (CH3が電子をベンゼンに吐き出し→オルト・パラ配向性)
- ニトロ基の置換反応
- TNTの生成 (2,4,6 トリニトロトルエン)

TNTは爆弾の原料になります。この記事を読んで間違ってもトルエンやNO2を購入しないでください(材料を購入した段階で警察が押し寄せてくるので絶対にやめましょう)
一方でフェノールを使っても爆発物は生成できます。ピクリン酸です。
- フェノールの用意 (OHが電子をベンゼンに吐き出し→オルト・パラ配向性)
- ニトロ基の置換反応
- ピクリン酸の生成 (2,4,6 トリニトロフェノール)

ところで、全部ニトロ基にできないのでしょうか?
というのも、全部ニトロ基になれば爆発の威力が強くなるんじゃね?と思うかもしれませんが無理です。
理由は前回の記事でも書きましたが、置換した分子の一つ目がニトロ基なら反応性が低くなるためです(メタ配向性しかない)。
ジアゾ化について
ジアゾ化について解説します。手順を示します。
- ジアゾニウムイオンを用意
- ベンゼンの投入
- ベンゼンのπ電子が引きつけられる
- ジアゾカップリングが起こる

ただ、上の図の反応はそう簡単に上手くいきません。
理由として窒素がベンゼンと結合すると思いますが、元々付いているベンゼンのπ電子が窒素に引きつけられることで、窒素の電荷が中和されます。だから反応しにくくなるのです。
そこで、前回の記事でも解説したようにフェノキシドイオンを用意します。
このイオンは電子の吐き出しが最強です(ベンゼンに電子を提供して求電子置換反応を起こしやすくする)。

フェノキシドイオン(実際にはナトリウムフェノキシド)を用いた方がジアゾカップリングは起こりやすいです。