ファラデーの電磁誘導の法則 原理と本質の理解

電磁気学

こんにちは。Horyです。

今回の記事ではマクスウェル方程式の1つであるファラデーの電磁誘導の法則について解説します。

この法則を言葉で説明すると、「磁束(密度)の変化により電場(起電力)が発生する」という法則です。

今回はこの法則を原理から解説します。

頑張りましょう。

電流が受ける力

ファラデーの電磁誘導の法則を解説する前に、電流が磁束密度より受ける力を考えます。

以下のような断面積がSの導線を電流が流れているとします。単位面積当たりの電荷の個数をnとして、導線の長さlの部分を切り取って考えます。

電子1つを切り取ってローレンツ力を考えると・・・

そして、電流の正体は電子(電荷)の流れです。この導線の長さlの部分の電流が磁束密度より受ける力を求めてみます。

この力Fを大勢の人はアンペール力といいますが、僕は、こういう風に呼ぶのが好きではないので、これもローレンツ力と呼ぶことにします。

ちなみに、電流・力・磁束密度の向きは「フレミングの左手の法則」というモノで説明できます。

  • 親指・・・力の向き
  • 人差し指・・・磁場の向き
  • 中指・・・電流の向き

ファラデーの電磁誘導の法則について・・・

ファラデーの電磁誘導の法則について、以下の項目に分けて解説します。

  • 法則発見の経緯
  • ファラデーの電磁誘導の法則の手順

法則発見の経緯

まずは、法則発見の経緯に関してデス。

この法則は1820年にエルステッドという人が発見しました。

というのも・・・

  • 電流を流すと近くに置いた方位磁石の針が振れる
  • 電気が磁気に作用を及ぼす
  • 逆に、磁気が電気に作用を及ぼすことはないのか・・・

このような経緯があって発見されました。

ファラデーの電磁誘導の法則の手順

電磁誘導の法則の手順を解説します。
まず、磁束(密度)の変化によって起電力が発生するということは、閉回路ができると言うことです。

  • ①;閉回路の生の向きを約束する(任意の向きで良い)
  • ②;①の正の向きに右ネジを回してネジの進む向きに閉回路の囲む面の法線と単位ベクトルを取る
  • ③;閉回路の囲む面積をSとして貫く磁束を考える
  • ④;時速が変化すると回路に起電力が生じる(磁束を時刻で微分する)

ここで、磁束について簡単に解説します。
前回の記事でも解説しましたが、磁束は面を垂直に貫く磁力線の量を体系的に表したモノです(電場の場合は電気力線で電束という)。

とりあえず、今は、簡単のために、磁束密度と法線ベクトルのなす角度θ=0の時を考えてみましょう。

④を行います。面積と磁束密度が時間により変化すると考えます。

実際の問題で出てくるのは上に示したケース1か2のどちらかです。

また、必ず覚えておいてほしいのが磁場により起電力が発生し、回路ができると言うことは、電流が流れて電流(流れる電荷)がローレンツ力を受けることになります。

このローレンツ力の向きは「磁束の変化を妨げる向き」に働きます。

これをレンツの法則といいます。

ケース1 面積が時間変化する

面積が時間変化する導体が図に示すように運動します。

  • 原因・・・導体棒の運動
  • 事象・・・面積が増加して磁束が増える
  • 結果・・・起電力が発生し、面積を減少させる向きにローレンツ力が働く
  • v・・・導体棒の進む向き
  • B・・・磁束密度
  • I・・・起電力により回路に発生する電流の向き
  • emf・・・磁束変化により発生する起電力
  • F・・・導体棒中を流れる電荷が受けるローレンツ力

ローレンツ力が磁束の増加を妨げる向き(面積の減少する向き)に働いています。

ここで、絶対に勘違いしてほしくないのは、vが変化するときについてデス。

  • 導体棒に働く力学的な力 (導体棒の加速)
  • 導体棒中を流れる電荷に働く電磁気学的な力(ローレンツ力)

この2つの力は全く違うものデあることに注意すると共に、フレミングの左手の法則が適用されるのは導体棒中を流れる電荷に働く電磁気学的な力(ローレンツ力)です。

よく混同する人がいますが、絶対に勘違いしないようにしてください。

ケース2 磁場が時間変化する

磁場が時間変化するとき、その磁場中に置いた導体に起電力が発生します。

ただし、磁場は上向きの方向で単調に増えるモノとします。

上向きの磁束密度が増加するので、この増加を妨げる向き(減少させる向き)に起電力が発生します。

そのため、ローレンツ力は円形の導体中心から遠ざかる方向に発生します。

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