クラウジウスの原理とトムソンの原理 永久機関について

熱力学

こんにちは。Horyです。

前回の記事では熱力学のサイクル過程に関して原理を解説すると共に、問題の解説を行いました。

今回の記事ではクラウジウスの原理とトムソンの原理について解説すると共に、永久機関が実現しない理由に関しても理論面から解説していこうと思います。

今回も頑張りましょう。

クラウジウスの原理とトムソンの原理

2つの原理の詳細を解説します。

  • クラウジウスの原理
    • 「熱は何の変化も残さずに低温の系から高温の系には移動できない」
    • (熱は高温の系から低温の系にしか移動できない)
  • トムソンの原理
    • 他に何の変化も残すことなく、1つの熱源から熱を取りだして、それを全て仕事に変えて、元の状態へ戻すのは不可能」

上に示すのがクラウジウスの原理とトムソンの原理です。

ただ、トムソンの原理についてはこれだけでは分かりにくいと思うので、もっとわかりやすく解説すると・・・

サイクルの熱効率を思い出してください。

結論から言うと、トムソンの原理は「何の変化も残さずに熱効率が1のサイクルを作ることが不可能」と言うことを表しています。

熱効率が1のサイクルを私たちは永久機関と呼んでいます。

  • 熱力学第2法則
    • 熱は(自然界で)低温の系から高温の系には移動できない
    • 熱効率が1のサイクル過程は実現できない

熱源からQinを取り出して、それを全て仕事にしてQout=0にするのは現実的に不可能です。

ただし、変化を残すサイクルであれば可能です。

  • 等温変化
    • dU=0 ⇔ Q = W (変化を残して全ての熱を仕事に⇔元の状態に戻ってない)

クラウジウスの原理→トムソンの原理の証明

「クラウジウスの原理が成立するならトムソンの原理も成立する」ことを証明します。

背理法を用いて証明します。背理法に関しては数学のこの記事に書いてあるので読んでおいてください。

以下は証明になります。

  • トムソンの原理の否定
    • 「他に何の変化も残すことなく、1つの熱源から熱を取りだして、それを全て仕事に変えて、元の状態へ戻す装置が実現可能」
  • トムソンの原理が成立しないと過程
  • 高温からQinを取り出して正の仕事Qin – Qoutを仕事として外に行う系
  • 低温からQoutを取り出して仕事Qin – Qoutを高温に流す装置
  • 低温から高温に熱が流れる→クラウジウスの原理に反する

以上から背理法により題意が成立しました。

トムソンの原理→クラウジウスの原理

「トムソンの原理が成立するならクラウジウスの原理も成立する」ことを証明します。

これも背理法を用いて証明します。

以下は証明になります。

  • クラウジウスの原理の否定
    • 低温から高温に変化を残さずに熱の移動が可能
  • クラウジウスの原理が成立しないと仮定
  • 高温からサイクルにQinの熱が流れる
  • 低温からQoutを高温に移す装置
  • 仕事Qin – Qoutをして、低温へQoutの熱を流す装置
  • 2つの装置を合わせてサイクルとする
  • 何の変化も起こさずに熱を流している→トムソンの原理に反する

以上から背理法により題意が成立しました。

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