アルケンの酸化開裂反応 原理のまとめ

有機化学

こんにちは。Horyです。

これまでの記事でアルケンの反応に関して色々解説してきました。

今回の記事ではアルケンの酸化開裂反応についてまとめたいと思います。

本分野は高校化学では発展的分野とされていますが、理系を目指す人であれば知っておいた方が良いです。

今回も頑張りましょう。

アルケンの酸化開裂

酸化開裂について単語ごとに解説すると・・・

  • 酸化・・・酸素がからむ
  • 開裂・・・切断する

つまり、酸素によって二重結合が裂けて2つの化合物に分かれる反応のことが酸化開裂反応です。

以下に図を用いて示します。

図に示すようにO-O結合がちぎれて裂けることで2つのカルボニル結合(C=O)をもった化合物に分かれます。

これにより生成される有機化合物は以下の3つです。

  • アルデヒド
  • ケトン
  • カルボン酸

官能基に関してはこの記事で解説したので読んどいてください。

どの有機化合物ができるかは反応する物質によって決まります。具体的には以下の2つを覚えとけばいいです。

  • オゾン (酸性条件)
  • 過マンガン酸カリウム

この2つの反応について、反応の原理も含めて詳しく解説します。

オゾン(酸性条件)での酸化開裂

オゾンでの酸化開裂では「ケトンとケトン」もしくは、「ケトンとアルデヒド」「アルデヒドとアルデヒド」が生成されます。

原理を図にして解説します。

この反応は6段階あるので段階ごとに何が起きているかを説明します。

ちなみに、僕はオゾンのことをジャイアン三兄弟と思っていて、真ん中のジャイアンを次男とします。

  • ①の状態
    • オゾンの不対電子が二重結合にラジカル反応
    • 二重結合が単結合に
  • ②の状態
    • ジャイアン次男が怒る (長男と末っ子がスネ夫と結合してるのに何で俺だけ・・・)
  • ③の状態
    • ジャイアン次男が別の道を探る
    • →炭素(スネ夫)二人と結合してエーテルに
  • ④の状態
    • エーテルは加水分解する
    • 加水分解で結合が切断 (水素イオンと水酸化物イオン)
  • ⑤の状態
    • ヒドロキシ基が2つずつ結合で分裂
  • ⑥の状態
    • 脱水してカルボニル基が2つ

過マンガン酸カリウムでの酸化開裂

過マンガン酸カリウムで酸化開裂すると「ケトンとケトン」もしくは、「ケトンとカルボン酸」「カルボン酸とカルボン酸」が生成します。

オゾンと比較して過マンガン酸カリウムは酸性が強いです。そのため、アルデヒドはカルボン酸まで酸化されます。

大まかな原理はオゾンのときと同じですが、過マンガン酸カリウムは②でヒドロキシ基を炭素に直接つけることで二重結合を切断すると思えば良いです。

つまり、エーテルになって加水分解する過程とかをすっ飛ばしています。

余談 中性/塩基性でのオゾンの反応

余談ですが、先ほどの解説でオゾンを酸性条件でアルケンと反応させると酸化開裂反応を起こすと解説しました。

ただ、中性や塩基性でオゾンをアルケンと反応させると開裂せずに「ジオール」という有機化合物を生成します。

例を図に示します。

このような場合だと反応が②で止まってしまいます。

まとめ

酸化開裂反応は高校化学では発展的内容とされていますが、理系の入試化学で出るときには出ます。

どんな問題が出るかというと、酸化開裂後の有機化合物を答えさせる問題ではなく、酸化開裂後の2物質から元のアルケンを特定させる問題が多いように感じます。

頑張ってください。

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