こんにちは。Horyです。
これまでにアルカンやアルケンの性質やこれらが絡む化合物に関して記事で解説しました。
今回の記事では炭化水素でまだ紹介していないアルキンの性質や反応に関して説明します。
また、発展的な内容としてケト・エノール互変異性とは何かと言うこともテーマに解説します。
今回も頑張りましょう。
アルキンの性質
アルキンの性質について簡単に解説します。
- 炭化水素で三重結合を1つ持つ
- 同じ炭素数のアルカンやアルケンと比較して沸点・融点は高い
- アルケンと同様にπ結合の反応性が高い
- 入試で目にするのはアセチレン
こんなモノでしょうか・・・教科書とかでよく見るのはアセチレンです。
以下ではアセチレンに関して色々解説しようと思います。
アセチレンの生成方法
アセチレンの生成方法について簡単に解説します。
無機化学のこちらの記事でも解説しましたが復習です。
- 石灰石を熱する→生石灰と二酸化炭素
- 生石灰とコークスを電気炉で強熱→カルシウムカーバイドと一酸化炭素
- カルシウムカーバイドと水→消石灰とアセチレン

上の3つの反応によりアセチレンが生成することも覚えてください。
また、生石灰と消石灰の違いも覚えましょう(こちらの記事に詳しく書いてあります)。
アセチレンと付加反応
アセチレンの付加反応についてです。アルケンと同様にアルキンにも付加反応は起こります。
- アセチレンに水素付加・・・アセチレン→エチレン→エタン
- アセチレンに臭素付加・・・臭素水の色が消える

また、アセチレンに水素化物(HX)が付加する反応が非常に大事です。というのも、Xの元素が変わることで多様な用途にアセチレンを生まれ変わらせることができます。
具体的には以下の手順です。
- アセチレンに水素化物が付加
- ビニル化合物(二重結合1つ)の生成
- ビニル化合物の付加重合→ポリビニル化合物
図に例を示します。

これらの物質の具体的な用途に関しては高分子化合物の記事で解説します。
このように、カルシウムカーバイドを起点としてアセチレンから様々な物質を作ることを昔はカーバイド工業と呼んでいました。
また、アルキンもアルケンと同様に水素化物の付加にはマルコフニコフ則が適用されます。
付加重合やマルコフニコフ則に関してはこちらです。
最後に、言い忘れていたことですが、アルキンはアルケンと比較して反応性が低いです。
そのため、上の反応を含むアルキンの付加反応では水銀を触媒とすることを覚えておきましょう。
アルキンとケト・エノール互変異性
皆さんはケト・エノール互変異性という言葉を聞いたことはございますでしょうか?
理系の方なら聞いたことがあるかもしれませんが、説明できる人は少ないように思います。
これはアルキンに水が付加したときに化合物がエノール型からケト型に変位することを指します。
エノール型とケト型を図に示してみます。

つまり、アルキンに水が付加すると一瞬だけエノール型になった後に直ちに水素が移動してケト型になります。
アセチレンを例に示して見ます。

図のRは炭化水素だと思ってください。
アルキンと沈殿生成反応
アルキンの沈殿でアセチリドと呼ばれるモノがあります。
- アルキン+硝酸銀or塩化銅(Ⅰ)+アンモニア水
- 硝酸銀なら銀アセチリド (Ag2C2)
- 塩化銅(Ⅰ)なら銅アセチリド (Cu2C2)
どういうことが起きているかを図に示します。

ルシャトリエの原理に関してはこちらです。
ちなみに、アセチリドが沈殿するときとしないときがあって・・・
- 三重結合が端っこ・・・アセチリドは沈殿する
- 三重結合が中間・・・アセチリドは沈殿しない
三重結合だからといってアセチリドが常に沈殿するとは限らないことを覚えておいてください。