こんにちは。Horyです。
前回の記事ではネイピア数や対数についての不等式の評価の問題に取り組みました。
今回の記事では「Σ(1/k)」が無限大に発散することを証明する問題に取り組みます。
今回も頑張りましょう。
正攻法で計算できない極限
私たちはどう頑張っても以下に示すような極限は正攻法で計算することはできません。

これらの極限を計算するには不等式による評価を用いるしかありません。以下の2つの方法が非常に有効になります。
- 区分求積法
- 面積の大小関係による不等式⇒比較
今回の記事では面積の大小関係を用いることに焦点を当てて問題に取り組んでいきます。
問題1 「Σ(1/k)」が発散することの証明
以下に示すのは「Σ(1/k)」が発散することを証明する問題です。

この問題を例に解説します。
この無限級数をΣなしで書き下してみると・・・

この無限級数は一見収束するように見えますが、発散します。結構有名です。
問題1 解答・解説
問題1の解答・解説です。
グラフによる面積を比較し不等式を使った後にnを無限に飛ばすことで調べます。
以下に図を示します。

重要なのは「青い斜線部の面積<赤い斜線部の面積(長方形の面積の和)」です。これを式で表すと・・・

ここで、追い出しの原理が発動するので・・・

以上により、発散することが分かります。追い出しの原理についてはこちらの記事です。
問題2 整数部を求める
次に示すのは整数部分を求める問題です。

この問題を例に解説します。間違っても一つ一つ足し上げる方法は使わないでくださいね。日が暮れます。問題1と同様に面積による比較から不等式を作る方法を用います。
問題2 解答・解説
問題2の解答・解説です。まずは、図を描きましょう。

青い実線は減少関数なので以下の式が成立します。

上の不等式の赤い部分は図における赤い長方形の面積に等しいです。
①でkの値を大きくして100000までのモノを加えていくと・・・

以上から、100の位は6・十の位は3です。
このように、途方もないような数字の和であっても、不等式による近似を用いればどの程度の数であるかを把握できます。