こんにちは。Horyです。
前回の記事ではアミノ酸のL体とD体について解説しました。
今回の記事ではα-アミノ酸の構造と効果的な覚え方をまとめたいと思います。
今回も頑張りましょう。
自然界のα-アミノ酸
自然界で登場するα-アミノ酸は20種類あります。
その中でも、人間の体内で合成することが不可能で、自然界の食べ物を食べて摂取することでしか獲得できないものを必須アミノ酸と言います。
現状の高校化学では20種類のα-アミノ酸を暗記する必要があります。
これが多くの受験生を苦しませている要因の1つです。
α-アミノ酸は大きく中性アミノ酸・酸性アミノ酸・塩基性アミノ酸の3種類に分けられます。
何を持って中性・酸性・塩基性かを分けているかというと、それぞれのアミノ酸が電気的にどのpHで中性になるかを分けていて、電気的に中正なpHのことを等電点と呼びます。
中性アミノ酸
中性アミノ酸はアミノ基とカルボキシ基を1つずつ持ちます。
覚えるべき中性アミノ酸は全部で12種類です。
- グリシン
- アラニン
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- セリン
- トレオニン
- システイン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- チロシン
- トリプトファン
グリシン
グリシンの構造を以下に示します。

- グリシンはアミノ酸の構造の中で最も単純
- 不斉炭素原子を持たない唯一のアミノ酸
- ほのかな甘さを持つ
- 必須ではない
- 分子量;75 g/mol
- 等電点 ≃ 6.0
アラニン
アラニンの構造を以下に示します。

- アラニンはα-アミノ酸の基本
- 必須ではない
- 分子量;89 g/mol (覚えろ!)
- 等電点 ≃ 6.0
アラニンは上段・中段・下段を持つアミノ酸の中で最も簡単な構造です。
アラニンの分子量は覚えておくべきです。
何故なら、グリシン以外の他のアミノ酸は全て上段・中段・下段を持っていて、アラニンの分子量さえ覚えてしまえば、他のアミノ酸は分子の差し引きさえ考えれば自ずと分子量が分かるからです。
バリン
バリンの構造を以下に示します。

- 筋肉強化・疲労回復・成長促進
- 必須アミノ酸
- 分子量;117 g/mol
- 等電点 ≃ 6.0
- 覚え方;下段で割れる (BCAA_分岐鎖アミノ酸)
ロイシン・イソロイシン
ロイシンとイソロイシンの構造を以下に示します。

- ロイシンについて
- 必須アミノ酸
- 分子量;131 g/mol
- 等電点 ≃ 6.0
- 覚え方;分岐がバリンよりも低い「lo(ロ)w」だからロイシン
- イソロイシンについて
- 必須アミノ酸
- 分子量;131 g/mol (ロイシンの構造異性体)
- 等電点 ≃ 6.0
- 覚え方;ロイシンよりも分岐を「急ロイシン(中段で分岐)」
セリン
セリンの構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸ではない
- 親水性のOHを持つ
- 分子量;105 g/mol
- 等電点 ≃ 5.7
トレオニン
トレオニンの構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸
- 親水性のOH
- 分子量;119 g/mol
- 等電点 ≃ 6.2
- 覚え方;セリンと似てるけど分岐や必須アミノ酸という個性を「取レオニン」
システインとメチオニン
システインとメチオニンの構造を示します。

- システインについて
- 必須アミノ酸でない
- SHが酸化で二分子のS-Sのジスルフィド結合
- 分子量;121 g/mol
- 等電点 ≃ 5.0
- 覚え方;髪の毛を燃やす→S-Sが焦げる→「ジスルフィドの香り」
- メチオニン
- 必須アミノ酸
- 分子量;149 g/mol
- 等電点 ≃ 5.7
- 覚え方;システインよりも下段が「めっちゃ」長いからメチオニン
フェニルアラニン
フェニルアラニンの構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸
- ベンゼン環は疎水性
- 濃硝酸→ベンゼンのニトロ化→黄色に→塩基性で橙色(キサントプロテイン反応)
- 分子量;165 g/mol
- 等電点 ≃ 6.2
- 覚え方;ベンゼンのせいでアラニンより分子量が「増えるアラニン」
チロシン
チロシンの構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸ではない
- ベンゼンは疎水性
- 濃硝酸でニトロ化→塩基性でキサントプロテイン反応
- 分子量;181 g/mol
- 等電点 ≃ 6.2
- 覚え方;フェニルアラニンからOHがチロッと出るからチロシン
トリプトファン
トリプトファンの構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸
- ベンゼンは疎水性
- 濃硝酸でニトロ化→塩基性でキサントプロテイン反応
- 分子量;204 g/mol
- 等電点 ≃ 5.9
- 覚え方;フェニルアラニンに対して5角形がトリップしてきてトリプトファン
酸性アミノ酸
酸性アミノ酸はアミノ基1つとカルボキシ基2つを持つアミノ酸です。
カルボキシ基の報がアミノ基よりも多いので等電点は酸性側に傾きます。
覚えるべき酸性アミノ酸は以下の二種類です。
- アスパラギン酸
- グルタミン酸
アスパラギン酸
アスパラギン酸の構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸でない
- 分子量;133 g/mol
- 等電点 ≃ 2.8
- 覚え方;アスパラガスの独特な香り・・・「アスパラギン酸だ」(マジ)
グルタミン酸
グルタミン酸の構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸ではない
- 分子量;147 g/mol
- 等電点 ≃ 3.2
- 覚え方;L体は味の素の成分 (うまみ成分)
塩基性アミノ酸
塩基性アミノ酸はアミノ基2つとカルボキシ基1つを持ったアミノ酸です。
カルボキシ基よりもアミノ基の方が多いので等電点は塩基性側に傾きます。
覚えるべき塩基性アミノ酸は3種類です。
- リシン
- アルギニン
- ヒスチジン
リシン
リシンの構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸
- 分子量;146 g/mol
- 等電点 ≃ 9.8
- 覚え方;中段にCH2が4つあるからリシ(四)ン
アルギニン
アルギニンの構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸でない
- 分子量;174 g/mol
- 等電点 ≃ 10.8
- 覚え方;リシンの中段でCH2の代わりにNHが、追加でC=NHがアルギニン
ヒスチジン
ヒスチジンの構造を以下に示します。

- 必須アミノ酸でない
- 分子量;155 g/mol
- 等電点 ≃ 7.6
- 覚え方; トリプトファンとは構造が似ているので知人(チジン)です。
